〈前編〉「地域をめぐり、福祉に出会う」SOCIAL CARAVAN レポート
「地域をめぐり、福祉に出会う」― SOCIAL CARAVAN
2022年春、SOCIAL WORKERS LABは、新たなプロジェクトとして 「SOCIAL CARAVAN(ソーシャルキャラバン)」をリリースしました。
このnoteは、ツアー参加者のひとりであるSOCIAL WORKERS LAB メンバー・大森がどのような体験をして何を感じたのかの、いち参加者目線でのレポートです。
前編となる今回は、まずは「SOCIAL CARAVAN in 京丹後」とはそもそもどんな企画だったのかについてと、2日間にわたるツアーのうち、1日目の模様についてお届けします!そのなかに、SOCIAL CARAVANの企画背景や思いについても表現しています。
「SOCIAL CARAVAN in 京丹後」とは?
SOCIAL CARAVAN、はじまりは、京都府最北端・京丹後エリアから。
京丹後市は日本海に面した丹後半島の中心にある人口5万人弱の農山漁村。
30年前の1990年に7万人弱だった人口は大きく減少し、少子高齢化の波は訪れているものの、森里海の自然は守られ、昔ながらの文化や生活の知恵が残っているエリアです。UI ターン者も多く、自分らしさを生かした生業(なりわい)が生み出され、地域の人びととの新たな地づくりの渦も起こりはじめています。
そんな京丹後を探索する旅を共同で企画してくださったのは、同エリアで活動を展開する社会福祉法人みねやま福祉会さん。トークイベント「福祉とまちづくりの交差するところ」にゲストとしてお越しいただいたこともある理事・櫛田啓さんと、結婚を機に移住してきたスタッフ・徳本知穂さんがツアーホストを務めてくださいました。
ツアーの参加者は、たとえばこんな問いの答えを知るために京丹後の地にやってきました。問いに対する答えは、ツアーに参加した人それぞれが感じてきたことのなかにあります。文字と写真だけではほんの一部しか表すことができませんが、わずかでもみなさんにお伝えできればうれしいです。
ツアー1日目レポート
<1日目午前>みねやま福祉会ツアー(櫛田さん)
初日のお昼ごろまではみねやま福祉会の理事・櫛田啓さんがツアーのホストをしてくださいました。
みねやま福祉会の施設に加えて、みねやま福祉会とかかわりのある地域の場所も、櫛田さんの運転する車で次々と訪れていきました!
まちの歴史、産業、気候から、人口減少などの課題まで、地域の背景をうかがい、その背景とともに法人が取り組んできたことを知っていく時間でした。
櫛田さんから、みねやま福祉会の活動には常に「地域のニーズが出発点」というベースがあることを教えていただきました。みねやま福祉会には、地域のニーズ、つまり「なんとかしてほしい」ことが日々たくさん舞い込んできます。それは櫛田さんをはじめとするみねやま福祉会のみなさんが地域との関係づくりに力を入れておられるからだと感じました。
地域の「なんとかしてほしい」場所、たとえば、まちの中心部の潰れてしまったスーパー、 空き家になってしまったおうち、耕作放棄地など…を実際に案内していただきながら、地域の福祉のためにどう活用していけるかという構想もうかがいました。
課題がたくさんあると言われるまちを、長いスパンで考えて一歩ずつ着実に、豊かで暮らしやすいまちにしていこうとされています。
<1日目午後>まちまち案内所(大垣さん、小林さん、坂田さん、川渕さん)
午後は、「まちまち案内所」へ。ここは公民館でもカフェでもない場所。
みんなの本棚や、カフェスペース、子どもが遊べる場所、ものづくりスペースなどがあり、さまざまに使うことができる魅力的な場所です。
みねやま福祉会の徳本さんによれば、ここに行けば必ず誰かおもしろい人に出会ってしまうという噂も!
ここで、京丹後のまちを面白くしているさまざまな方とお会いしました。豊かでいきいきした地域をどのようにつくろうとされてきたのか、興味深くて素敵なお話ばかり。
まず、このまちまち案内所を設計したU設計室の大垣優太さんのお話をうかがいました。午前中に訪れたみねやま福祉会の児童養護施設「てらす峰夢」や、2日目に訪れる「roots」など、京丹後の建物を数多く設計されています。
昔ながらのまちの風景を守るため、新築よりも空き家のリノベーションをするようにしていること、半径50km圏内の仕事しかしないこと。徹底して京丹後のまちのための建築を考えるという、仕事を貫く哲学に心を動かされました。
つづいてお会いしたのは、U設計室と丹後暮らし探求舎の小林朝子さん。さまざまなひとが交わる場所であるまちまち案内所の、これまでとこれからをお聞きしました。
他のまちから来たひとだけでなくずっとこのまちに住んでいるひともまちの魅力を知っていけるような場所、さまざまな人が来られる理由がある場所、やってみたいと思うことが気軽に実現できる場所、まちがよりよくなるきっかけとなる場所。そんな場所が目指されていて、さまざまな試行錯誤を重ねて実現しつつあるのだと感じました。
最後にお話を伺ったのは、坂田真慶さん(丹後暮らし探究舎)、川渕一清さん(まちの人事企画室)のおふたり。京丹後というまちをよりよく面白くする動きや流れをどのようにつくってこられたのかうかがいました。
印象的だったのは、「京丹後を面白くする100人の人を集めるために、そのきっかけとなる最初の10人を集める」という動き出しのお話。他にも、どうやってまちづくりや場づくりをやっていくかということについてSOCIAL WORKERS LABメンバーから質問があり、ざっくばらんにお話しました。
おひとりおひとりからお話を聞けた時間は短かったですが、京丹後というまちが発している面白いうねりの気配をたっぷり感じるとともに、その気配がつくられるに至る過程や、そこに関わったひとのことも知ることができる時間になりました。
<1日目夜>みねやま福祉会のみなさんとの交流会
1日目の宿泊先は、みねやま福祉会の複合型施設、マ・ルート。京丹後からは少し離れた宮津市の海辺にある施設で、とっても見晴らしがよいです。地域の方が訪れる釣りスポットもあります!
初日の最後には、ここでみねやま福祉会のみなさんとお話しする時間もありました。ツアー参加者が1日京丹後で過ごして良いなと思ったことともやもやしたことをそれぞれ共有し、それを聞いて感じたことなどをじっくり話していきました。ツアー参加者とみねやま福祉会の職員さん、互いに多くの気づきがあったように思います。
今回はここまで!
また次回、2日目のレポートとSOCIAL CARAVANに込められた思いや開催した感想もお届けします。おたのしみに!
▽この記事を書いたひと▽
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