天才クレーマーの上半身

天才クレーマー。「自分だけは例外界」の絶対王者。　

あかん。「天才」とか「絶対王者」とか言うてるけど、ただの悪口やな。

ま、とにかくそんな感じのQさん。ま、とにかく今夜は自宅近くの「マクドナルド」で晩ごはんを買ったようである。でも、その、「報告」みたいに電話かけてくるん、マジでやめてもらえる？

「いいやん、いいやん、そういう食生活、たまにはいいと思うよ」

午後4時過ぎ、事務仕事やらなんやら、何かと忙しい西川君。うっかり「ダイヤルQ」（＝Qさんからの電話）に出てしまった不運にくじけまいと、光速で話を終わらせることに集中する。

「でも、チキンナゲットにケチャップがついてなかったんやんか」

うお、急になんやなんや？

さてはここからが「言いたかったこと」やな。

でも妙に穏やかやん。語気がまったく荒くないやん。

「お店に電話したら、お詫びにチキンナゲット代、返金してくれるって」

なるほど、そういうオチか。どうせ、めっちゃ怒ったんやろうな……。近いんやから「ケチャップなかったよー」って、もらいに行ったらええだけやん……。他人の失敗にはホント不寛容でんな……。

でも、マジでおかしくない？　

チキンナゲットを結局タダでGETして、その上、そのチキンナゲット代が返ってくる？

完全に経済原理、ぶっ壊れとるやないか。

たかだかケチャップひとつでお詫びとか返金とか、ほんまキモい。Qさんもマクドもほんまキモい。でも、ま、マクドもマニュアル通りの対応なんやろね。で、Qさんも満足して、こうして言いたくなったんやろね。

「それでお金は、もうもらいに行ったん？」

言いたいことは山ほどあるが、そんなことよりいち早くこの天才クレーマーと巨大資本の狂った物語から解放されたい。（ケチャップなしやけど）チキンナゲットも完食して、もう謎の返金手続きも完了してるわけでしょう？　頼むから、もうスカッと終わらせてくれい！

すると、さっきまで穏やかな調子で武勇伝（？）を語っていた天才が、なぜかこのタイミングで怒声を上げる！！

「行けるわけないやろ！！！　上半身、裸やのに！！！」

知るか！！！

上半身、裸やったらギリ行けるやろ！！！