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北澤平祐さん個展『花と生活』感想

その日の朝、私はいつものようにツイッターを眺めていました。
そして、たまたまリツイートで流れてきたこの作品に目が釘付けになりました。

こちらのツイートの1枚目に掲載されている『ブバルディアとぞうきんがけ』がその作品です。
テキスタイルのような、ぞうきんの縫い目と花、そこに紛れ込む女性(妖精?)の座った姿、モノクロの窓の中でぞうきんがけをする女性。
ぜひ実物を見たい!と思い、その日のうちに個展へと足を運びました。

個展へ向かう途中に調べてみると、北澤平祐さんは洋菓子のフランセやキャラメルゴーストハウスのイラストも手掛けていることが分かりました。
フランセのミルフィユに描かれたフルーツのイラストも、新宿駅にあるキャラメルゴーストガーデンのイラストも素敵だなぁかわいいなぁと思っていたものです。
『ブバルディアとぞうきんがけ』に一目ぼれをしたと思っていましたが、実は三回目の「このイラスト好き!」でした。
きっと素敵な作品が他にもたくさんあるんだろうという期待を胸に、個展会場である表参道のギャラリーへと足を運びました。

ギャラリーには、新作「花と生活」シリーズのほか、「インテリアストーリー」シリーズ、「しゅうかくするおんなのこたち」シリーズ、『若草物語』の挿画などなど、数多くの原画が展示されていました。
やわらかい線と明るい色で繰り広げられる世界の不思議な魅力と、時折登場するハチワレ猫(北澤さんが以前飼っていらっしゃったホワンホワンさんがモデルだと思われます)の愛らしさは、見ているだけで心が明るくなるようです。

実際に見て特に気に入ったものを2点選ぶとしたら、『金柑とジャム作り』と『べんきょうづくえ』です。

・『金柑とジャム作り』(「花と生活」シリーズ 上に引用したツイートの2枚目画像)
金柑の木の間を飛び回る妖精が持っているのはトーストでしょうか。ジャムがとろりとかかっています。
妖精の顔がいたずらっぽくてかわいいです。
そしてモノクロの窓の中でジャムを作っている女性のスカートの柄!フルーツモチーフの洋服が好きなのでつい目が行ってしまいました。
面倒に感じてしまうことも多々ある家事や日々の生活の中に、きれいな瞬間を見つけるのが素敵だなぁと思いました。

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・『べんきょうづくえ』(「インテリアストーリー」シリーズ)
これはあるあるだと思うのですが、猫って人が作業している机で寝そべりますよね(かわいい)。
机の上にあるシャーペンや消しゴムを前足で転がしたり、キーボードの上を歩いてタイプしたりもしますよね(とってもかわいい)。
この作品でも、猫が机の真ん中を陣取りのびのびと寝転がっています。
その可愛らしい姿といまいち集中できない女の子の困り顔の対比が楽しいです。
この女の子の家でも、猫が人の側で寝そべっているのが日常なんだろうな、と物語を感じました。

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画集も何作か購入しました(『しゅうかくする おんなのこたち』『あまりにも かるい わたしは』『ひかりはゆがみ』)。
可愛らしいイラストと明るい色合いもさることながら、添えられる言葉にも感銘を受けました。
言葉遊びの面白さが際立つだけでなく、込められたメッセージに元気づけられるものもありました。

また、画集にサインとイラストを入れていただきました。
私が着ていたワンピースの花柄や、ホワンホワンさんや、我が家の飼い猫のイラストまで!
にぎわうギャラリーの中で、さらさらとイラストを描きながらお話して下さる北澤さんの優しいお人柄に感激でした。
ギャラリーを後にしてからもウキウキとした気持ちが消えることはなく、イルミネーションのきれいな表参道をふわふわと歩き回って帰宅しました。

北澤さんは、今回の個展に関するnoteを書かれています。

「花と生活」の構想メモも公開されており、制作の裏側を垣間見ることができます。
一枚の作品の中に広がる物語、情報量の多さはこういったメモの蓄積によるものなんだなぁと思いました。

さらに、「花と生活」シリーズについて以下のように記載されています。

「花と生活」シリーズで描きたかったことは、どんなに美しかったり、ファンタジックな絵を描いたとしても、背後には日常が潜み、日々の生活が骨格となり、絵に重みを与えてくれているということ。また、日常とファンタジーは地続きであり、切り離すことはできないということ。


私は『ブバルディアとぞうきんがけ』を初めて見た時、花が描かれたテキスタイルのような作品、という見た目の美しさだけに惹かれたのではなく、背後の日常を感じられるところも含めて好きだと思いました。
日常を堅実に過ごすというテーマは、北澤さんの過去の作品でも取り上げられています。
例えば、画集『あまりにも かるい わたしは』の後半には「ただ たんたんと とりくむ できることを できる はんいで」というフレーズが登場します。
その通りではあるのですが、これを実行し続けるのはなかなか難しいことです。

だからこそ、大変な日常と美しいファンタジーを結ぶ想像力が必要なのだと思います。
確かに、ぞうきんの縫い目に花を見る想像力があれば、ぞうきんがけが少し楽しくなるでしょう。

想像力を働かせる余地を残し、存分にファンタジーを頭に思い描くことも下記noteで提唱されている「ご自愛」の一つなのかもしれません。

こちらも何度も読んでいるnoteです。
私自身も仕事で体調を崩した経験があるため、『「ご自愛する」という戦い方』を読み返しては、夜更かししないようにしたり帰宅後にカーディガンを脱ぎっぱなしにせずきちんと畳んだりするよう(なるべく)心がけています。

個展『花と生活』を見に行って、戦い方を一つ増やすことができたような気がしました。

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2020年イベント参加予定:
1/11-12ハンドメイドインジャパンフェス【C-256】
2/29-3/1装苑presentsアクセサリー蚤の市
4/11-12デザインフェスタ
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また、作品はこちらのweb shopで取り扱っています。
Creema
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