閻魔大王からの伝言

その日、ウサギは長い髪を風になびかせ、ある決意を胸に秘めて閻魔大王のもとへ向かった。浄真寺の閻魔堂に辿り着き、おもむろにお賽銭を投入すると、閻魔大王の声が浄真寺中に轟いた。大王は言った。「周りの人の幸せを願うような、寛大な心を持ちなさい」と。

数日前のこと、「最近、生き方に少し迷っているの。私はどうしたらいい？」とウサギがカメに打ち明けた。カメはじっと彼女の目を見ながら少し考え、「それなら、閻魔大王に聞いてみたらどうかな？」と静かに提案した。

「迷いがすっきり晴れたわ！」と、閻魔大王の言葉を聞いたウサギは言い、隣に立つカメに向き直り彼の手を取った。「これからは、ひたすらカメくんの幸せを願うわ」とウサギは元気よく頷き、九品仏駅の方へ走り始めた。

カメが急いでウサギの後を追うと、彼女はあるお店の前で立ち止まった。「あった！ここね。『アンフィニ』っていう香りを楽しむケーキのお店。一度来てみたかったの」

東京・九品仏「INFINI depuis 2020」

そっと店に入ったウサギは、可愛いスイーツの前でうっとりと目を輝かせた。「ベルガモットとピンクグレープフルーツのムース『パルファム』はまるで宝石のようね。苺とブラッドオレンジのムース『ブランタンフレーズ』は気品のあるお姫様みたい」

スイーツを手にして店を後にしたウサギは、滑らかに言葉を紡いだ。「私の幸せはカメくんの幸せそのもの。閻魔大王からの伝言は、まさにこれだったのね」横を歩くカメは事の成り行きをすぐには理解できなかったが、彼女の笑顔を見ているうちに、自然と笑顔がこぼれていた。

パルファム（左）
ベルガモットとピンクグレープフルーツのムース
いちごのジュレとジャスミンのバラのブリュレ

   ブランタンフレーズ（右）
苺とブラッドオレンジのムース
トンカ風味のブリュレとベリーのシャンティ