ページの中のかくれんぼ
その日、カメが図書館の閲覧席に足を踏み入れると、ウサギが一冊の本をじっと見つめ、眉間に小さなしわを寄せながら、静かにため息をひとつ、ふたつと漏らしていた。
その姿は、まるでその本に彼女の人生にとって欠かせない何か、大切な答えが隠されているかのようだった。
カメが音を立てないようにそっと隣の席に座ると、突然「ミッケ!」と小さな声が聞こえた。不思議に思ってウサギの本をのぞき込むと、彼女はページに散らばったカボチャの種を、一つずつ数えていた。
カメは肩の力を抜き、柔らかく微笑んだ。「どうせなら、もっと大きな絵でミッケを楽しんでみない?」その提案に、ウサギは目を輝かせて、勢いよくうなずいた。
会場の入口で解答用紙を受け取ると、ウサギの目が一瞬、キラリと輝いた。「パーフェクトに解いてみせるわ」そう小さくつぶやき、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「うーん、全然見つからない...」
始まってすぐに、ウサギは小さく声を漏らした。「どこからでもいいんだから、ゆっくりやろうね」カメは優しく、別の絵に目を向けるよう促した。
「へっへっへっ、見つけたわ!」ウサギは小さく笑いながら、解答用紙を取り出すと、勢いよく「自転車」と書き込んだ。
カメがそっとウサギの解答用紙を覗き込み、「その問題ね、シーモアくんが逆立ちして乗っている乗り物は何色?って聞いてるよ」と優しく囁いた。ウサギは一瞬キョトンとしてから、気まずそうに「赤」と書き直した。
ウサギは、次から次へと問題に挑み続けた。やっと最後の10問目を終えた時、彼女はその場にぺたりと座り込んだ。「思ってたよりずっと難しかったわ...」
会場の出口には、ミッケの本がずらりと並んでいた。「今月はハロウィンだし、おばけに挑戦してみようかな。人生って、挑戦し続けるものだもの」ウサギはそうつぶやき、本をそっと手に取った。