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竹久夢二とうさぎ

弥生美術館から続く廊下を渡り、ウサギとカメは竹久夢二美術館へ足を踏み入れた。夢二といえば美人画が頭に浮かぶが、その印象とはまた別に、そこには夢二が描く動物の世界が広がっていた。

「竹久夢二といえば、猫を抱いている女の人の絵のイメージがあるけれど、こんなにかわいい動物の絵も描いていたんだね」とカメが話し始めた。

「こんなにもいろいろな動物を描いていたなんて、ちっとも知らなかったわ」と、ウサギは微笑んだ。

コドモのスケッチ帖 動物園にて

「子ども向けに動物図鑑を描いていたのね。こんなにかわいい動物なら、子どもにも、さぞかし人気だったんでしょうね」

家族双六とパラダイス双六 

「夢二は自ら小動物を飼っていたんだね。彼が滞在していた本郷の『菊富士ホテル』から、上野動物園へ足を運んだこともあるのかもしれない」とカメは応じた。

「やっぱり、猫ちゃんがたくさん描かれているわね」と、ウサギは展示ケースの中を指さした。

「猫は高貴な雰囲気と気まぐれな性質を持っているから、その表情や仕草は夢二にとって特別だったんだろうね」とカメは微笑んだ。

夢二が描いた猫たち

「それにしても、いろんな動物を描いたわね。象に狐、オウムにラクダまでいるわよ」
と、ウサギはそっと声を上げた。

「おうむ」と「らくだ」

「そして、なんといっても外せないのは、もちろん『う・さ・ぎ』よね!やっぱり一番可愛いわ!ねっ、カメくんもそう思わない?」ウサギはカメの視線を捕らえ、いたずらっぽく笑った。

カメは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「もちろん、うさぎは特別だね」

雑誌などに掲載された「うさぎ」

「ちょっと待って!これって凄くない?」

「どんたく絵本3」の見返し

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