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二人が走る理由
ウサギは自分の部屋の窓から外をじっと見ていた。空は鉛色で、今にも泣き出しそうだった。「今日は走れないかな」と、彼女は小さなため息をつきながら、静かにつぶやいた。その声には微かな切なさが混じっていた。
その時、カメからメッセージが届いた。「今日はお花を眺めながら歩かない?」と。
二人は河川敷をゆっくりと歩き始めた。空はどんよりと曇っていたが、その中で力強く咲いている花々がウサギの目を引いた。彼女はスマホを取り出し、花に向けてシャッターを切った。彼女は優しい眼差しで、その小さな命の瞬間を静かに切り取り続けた。
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「5月の花って、こんなにも力強く、美しく咲いているのね」とウサギは呟いた。
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その言葉にカメも頷きながら、静かな眼差しで花を見つめていた。
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生命力に溢れる花たちが、曇り空を忘れさせるような明るさを二人にもたらしていた。
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「さてと、雨も降らなそうだし、そろそろ走るわよ」と、ウサギは言いながらカメを振り返った。カメは、ちょっとした躊躇いを見せつつ、穏やかに答えた。「もう十分に歩いたし、走るのは、えっと、今日はお休みにしてもいいかな」
ウサギはカメをじっと見つめた。彼女の視線はカメの顔からお腹へと移り、静かに語りかけた。「ねえ、カメくん、ちょっと考えてみて。最近私たち、食べ過ぎじゃない? いつもどこかでスイーツばかり食べている。これでは体重が気になってしまうわ」
カメは彼女の言葉に、「うっ」と小さく呟き、少し照れくさそうに頷いた。ウサギはその様子を見て、明るく笑った。「美味しいものを心から楽しむためには、私たちは走るしかないわね」と彼女は言い、その声は軽やかでありながらどこか決意が秘められていた。
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