見出し画像

“喧嘩するほど仲がいい”について。

Rくんと週末に会った。

お互いに仕事帰りだったので、ごはんどうする?と聞くと「パンケーキ食べたい」と言うので、行くことになった。

彼はいつでもパンケーキが食べたい。JKか。
(JKを長らくJust kiddingだと思っていたため、若者と辻褄が合わなかった私←)

言われ始めた当時Rくんに、何ですぐ女子高生ってわかったの?と聞いたら、前後の文脈だよと笑われた。



話が逸れた。

夜なので普通に食事をして、メインはこっちだと言うのでパンケーキも食べた。

パンより断然ご飯派な彼が、なぜこうもパンケーキが食べたいのか、私は未だにわからない。

店内には若い女性が多く、周囲もパンケーキを食べていたのだけれど、Rくんは誰よりもいいリアクションをして美味しそうに食べていた。

「わぁ〜〜!!!!✨✨」とか言う。

「うまそー!………うんまー!!🥰」とかも言う。

ずっと可愛い。


「めっちゃ映えてるな!」と言われて、今時女子高生でもここまでの反応しないやろと思った。


彼は散々、何処ぞのギャルのようなことをしてから、そのパンケーキを3口で平らげた。

いや男っ!!

そして「もう一皿食いたい!」と言った。

そこは男なんかい。



また払ってくれて、また揉めた。

以前書いたけれど、今回も私は奢られて可愛くありがとうはできなかった。
彼にとって奢って気持ちのいい女になることは、やっぱりできなかった。


帰りの車内でもまだブツブツ言う私に、少しばかりBGMの音を大きくして抵抗するRくん。

ヨルシカ、Ayaseと静かな曲が続いて、抵抗が難しいと悟ると(彼のプレイリストなのだけれど)、BUMP OF CHICKENのSOUVENIRにしてきた。

SPY×FAMILYのそれを楽しそうに歌って私を巻き込もう作戦に変えてきた。

Rくんの身になってみれば、奢ったにも関わらずこんなに文句を言われて、たまったもんじゃないと思っただろう。
さすがにブツブツ言うのはやめた。




静かになったタイミングで、「やっぱりちゃんと話し合わない?」と言った。

「言うだけ無駄、言ってもしょうがない奴だ、と思われていないことはうれしい。」とRくんが応えた。

「何でも話す大切さはRくんに教えてもらったから。」と言うと、とても喜んでくれた。



「溜め込まずに相手に諦めずに、コミュニケーションで解決を図ろうとするところが、すごくいいね。」と言ってくれた。

彼がこういうことを言葉にして伝えてくれるから、私はこうなれたのだ。
私だって受け止めてくれない人には無駄だと感じるし、邪険に扱われたら相手をその程度だと諦めたりもする。

最初は自分の気持ちを伝えて面倒だと思われるのは怖かったし、今でも彼以外の人には怯んでしまったりもする。
自分でも十分うるさいことは自覚しているし、細かい小言だなと思う時もある。

けれど私が自己嫌悪に陥るその度、彼が伝えてくれてありがとうと言ってくれるから、私は自分の気持ちを相手に伝えようと努力することは即ち相手への敬意だと思えるようになったし、信頼の証だとわかるようになった。



私がいつも楽しみに読ませていただいている方の文章の中に、
【喧嘩するほど仲がいいという言葉が好きではない。言いたいことを喧嘩しないと言えないだけだと思ってしまう。】
というニュアンスの言葉があって、私はそれにとても納得したし私もそうなりたいと言ったら、
彼は「なるほど。理性的ですごくいいなぁ。」と言った。

「おれは嫌いな人やどうでもいい人とは喧嘩さえできないから。
喧嘩するほどに大事な人なんだって、稚拙な自分をむりやり肯定してる感さえあるもんね。」

「本来、他者を励ます言葉だもんね。自分で言ったらただの言い訳よね。
私も、Rくんだからこそ甘えて喧嘩越しの言い方もできちゃうんだって都合のいい言い訳はダメだなって思った。」

「本当に大切な人にはそれさえ凌駕する理性が働くって言ってるんでしょ?
めっちゃ知的で素敵。」と言う彼に、私もそう思う、と言った。


「喧嘩さえできなくなったら終わりって意味でもあるか。」

「そうだね。何も言えないよりは喧嘩になっても言えるだけまだマシだよっていう慰めもあるのね。」


「…深いな。」
「うん…深いね。」


こういう話ができるところが好きだとも思った。

私たちは恋人ではないけれど、自分とは違う価値観を持った他人なのだから、大切だと言うのなら奢り奢られ論争についても意見が違うのならしっかり話し合いましょう!という私の熱意に対して、彼は最後にこう言った。



「おれは、本気で喧嘩して本気で仲直りしてそうやって関係深めていこーぜ!ってゴリゴリ青春スポ根漫画で育って、そのまま大人やっちゃってるタイプです!(ニコニコ)」


今じゃ丸くなって、喧嘩さえ避けてすぐに謝ってくれるじゃない。という私の脳内を、彼の言葉が遮った。


「グズグズうるさい!
深田えいみ論争もう飽きたー!」



奢り奢られ論争な。

深田えいみ論争て何やねん。
それはただの深田えいみが好きか否かの論争やろ。



きっともう彼の頭の中は、深田えいみ一色だ。

さっきいい話したよね!?
あの流れで理性的な話し合い、できそうだったよね!?
あんなこと話しながら頭の中深田えいみだったの!?信じられない!!

「そんなことないよ?深いなって言ったときからだよ!」



どついたろか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?