銀色えんぴつ星人
私が最初にあからさまな不思議体験をしたのは中学生の頃だった。受験などで精神的におかしくなる時期だよねー。などと軽く言う人もいるが、私の場合は違う。部屋の家具の配置だった。らしい。
ある日、晩ごはんを食べ終わり、1階の居間から2階の自分の部屋へ戻ろうとしたときのこと。階段を2段くらいあがったとき、なんか変な感じがした。すると、ちょうど目の高さにある階段の、右の壁から
「エッホ!エッホ! エッホ!」
息を切らしながら、銀色の、細長い、何かが突然登場し、目の前の階段を駆け抜け、左の壁の中に消えて行った。
「。。。。。。(☉。☉)」
なに、、、?いまの、、、
何がなんだかわからないまま、でもなんとなく平然を装い、部屋に戻って机に向かった。嫌な感じもしないし、あの人どこに急いでたんだろう。銀色の細長い棒のようなものだったけど、顔も手足もあるし、「不思議な国のアリス」のうさぎの執事が頭の中に浮かんでいた。次の日、学校に行ってその話をしても信じてくれる人はいない。それから今日にいたるまで、不思議体験やスピリチュアル体験なんかの話になるとこの話をし続けていたけど、「わかるぅ〜!」って言ってくれる人はいなかった。
ある日、会社でその話をした数日後、同僚が、
「ちょっと!こないだ話してた銀色のやつ!ほんとなんだね!友達の家にいたよ!!」
結構冷ややかに聞いてたのに、その興奮はどうしたものかと思っていたら、同僚がお友達の家に行ったときに、そこんちの子供(確か3歳)が絵を描いていて、見たらまるで私が話していたようなものだったと。それで気になって、これなあに?と聞いたら「銀色マンだよ!そこの壁から走って出てきてね、そっちに消えたの!」と言ったそうだ。それはそこのお家の台所の隅っこの壁から壁へ斜めに走り抜けていったのだそうだ。急いでた。そこまで話してたそうで、あまりにも一緒で、驚いたのだそうだ。
「名前は銀色マンだったけどね。」
いや、そんなのどうでもいい。あれから20年。まだ走ってると思わなかったよ!!きっと今もどこかでどこかを目指して人んちの中を駆け抜けているだろう銀色エンピツ星人よ。今はどこにいるんだい?どこに到達したら休めるんだろう。よくわからない彼のことを愛しく思いながらふと思い出すことがある。誰か、彼を見たことある人いるかなぁ。
銀色エンピツ星人
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