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統合失調症、就労とデイケア利用の考え方

私は統合失調症を患っていたため、二十二歳から精神科デイケアを利用し始めました。
そこでは月曜日の午前は絵画療法、火曜日の午前は書道療法、水曜日の十三時から四十五分間は集団精神療法、木曜日は休みで、金曜日はみんなで料理をして昼食を食べるというプログラムでした。午後は何もせずまったりと過ごしました。

デイケア中はいつでもコーヒーや紅茶、緑茶を飲むことができました。
デイケアは九時から開くのですが、日中はいつ来てもいいことになっていたので、朝の弱い私は十時から、あるいは十一時から参加することもありました。

私は二十五歳からパートで働き始めました。小さな工場で親方とふたりきりの職場でした。親方はいい人で、いい人というのは甘い人という意味ではなく、仕事に対して厳しく、私を成長させてくれそうだったので、私はこの親方について行こうと決めました。
その仕事は単純肉体労働でした。基本、一日七時間、週五日でしたが、仕事の原料が届かなかったりすると、不定期で休みとなりました。週三日勤務四日休みなどというのはよくあることでした。おかげで月収は七万円くらいでした。

休日はデイケアに通いました。その頃には絵画療法も書道療法も集団精神療法もやってなく、金曜日の料理だけを行っていました。
ほとんどコーヒーなどを飲みながら世間話をしていました。
デイケアには信頼できるソーシャルワーカーと優しい看護師、何でも話せるメンバーたちがいて心が癒されました。
自立支援制度により参加費用は僅かな金額を上限まで払ってしまえば、その月はそれ以上自己負担がないから気軽に参加できました。
つまり私にとってデイケアはサロンであり、行きつけの格安喫茶店でした。
一般の人が行きつけの居酒屋やスナックに通うのと同じような感覚だったと思います。そこに行けば何でも話せるマスターやママがいて、馴染みの常連がいつもいるのでした。

デイケアは心の居場所です。

私は就労支援を受けませんでした。
職場では健常者として働きました。適度な責任と緊張感がありました。

私はその後、職をいくつか替えた後、三十四歳で介護士になり介護福祉士の資格を取りました。
その後、四十歳で社会福祉士の資格を取りました。
しかし、職は替えず介護士のまま現在に至っています。

社会福祉士の資格を取った後、A型作業所を見学に訪れました。A型作業所とは企業と契約を結んで働く就労支援施設です。
私の訪れた所では中古の本、CDなどをパソコン上で注文があったら包装して発送するという仕事をしていました。
私は管理者に質問しました。
「ここにいる方たちは一般の職場で働けないのでしょうか?」
管理者は答えました。
「ここでは守られているという意識があるから働けるのです」
私は疑問に思いました。
彼ら彼女らは私が二十代でしていた仕事よりずっと複雑な仕事をしているのに・・・。
守られている?

「私だったら支援されていると思いながら働くのは嫌だな」と思いました。
もし、私の二十代のときの職場にジョブコーチなど支援者がときどき来ていたらどうだったでしょう?
授業参観はみんなの保護者が来るからまだいいのですが、自分の保護者だけが授業を見に来たら嫌でしょう。しかも、大人になって働いているところを見に来られるなんて。


私は就労支援の現場を知りません。
就労支援とは後方からの心理的なサポートがあれば充分だと思います。
私自身、二十代、病んでいましたが休日にデイケアがあるから就労を保てたように思います。

私の勉強不足かもしれませんが、自身の経験として、仕事の緊張感を感じること、心の居場所があることが、心のリハビリにとって有効で自立への道につながっているのだと思います。


私の二十代の頃の仕事について書いた記事を貼りつけておきます。私の統合失調症からの就労の核心を書いたつもりなのでよろしければ読んでみてください。


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