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【超超短編小説】新宿福袋天国

 何度もスカートの中に手を突っ込んでいると厭になってくる。
 山と積まれたスカートに手を突っ込み値札タグを切ってはまた積み直す。
 ひとつ積んでは銭の為。
 ふたつ積んでも銭の為。
 資本主義の走狗は幸福の奴隷へとジョブチェンジする。
 何時間分に相当するのか知れない紙袋は赤と白のストライプになっている。
 資本主義の残りカスが赤と白と言う社会主義の善悪を象徴する色なのは何かの冗談か?
 黒いスカートの山を超えたら次は茶色いスカートの山が待っている。
 それは何を暗喩してるんだ?
 スカートに手をいれる。
 タグを引き出す。
 ハサミで切り取る。
 スカートから手を出す。
 繰り返す。
 売れ残りの詰め合わせを処分したい線Aと何でもいいから得した気になりたい線Bが点Pで交わる。
 クソの消失点。
 叶えられた点Pを支える賃労働はスカートの中に手を突っ込む事で成立している。
 お前がコレを欲しいのなら構わない。
 俺はお前のスカートに手を突っ込んだりしないし紐みたいなショーツを鋏で切ったりもしない。
 お前はコレが欲しいのか?
 別に欲しくもないものを安く買うのは楽しいか?
 俺はスカートの中に手を突っ込むのが苦痛になってきているよ。

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