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【超短編小説】QuitQuittng

 俺の手元には大量の札束があった。
 シワも折り目もついていない新札が白い帯で留められていた。新札特有の匂いが立ちこめている。
 だがその匂いを俺は胸いっぱいに吸い込む気にはなれなかった。どうしてこれがここにあるのか俺には分からなかったからだ。

 仕事を終えて帰宅したらベッドの上には無造作に積まれた大量の札束が置いてあった。
 これがいくら分なのかはわからない。見た事も無い額なのは確かだ。
 確かに金は欲しいと思う。
 思っていた。
 だがこれは俺が望んでいたものとは違う。
 これは煙草を辞めて拳闘の試合に勝つとか、酒を断って仕事を見つけるとかそういうレベルの話では無い。

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