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suzuranko
2022年2月18日 20:41
拝啓「最後に会った日から、もう2年ほど経ったけれどお変わりないですか?突然のお便り、お許しください。 あれからきっと、あなたもご苦労があったでしょうけれど、わたしも当時、何度も気が滅入りそうになることがあったんです。とにかくいろんなことから逃げ出したくて、思い立ったある日、ワンボックスカーに積めるだけ荷物を積んで愛犬のゴールデンレトリバーと共に、北へ走らせました。 車をび
2022年2月17日 18:53
天狗の手の上にひらひらと雪が落ちたので、ああ、まだ冬なんだなと思った。陽の光が暖かかったので、窓辺でぬいぐるみをひなたぼっこさせたことを後悔した。今ごろ、湧いたように舞う粉雪を見て、震えているに違いない。今日のわたしは、アイラインを目からずいぶんとはみ出して描いたせいで、気が強い。使い始めてもう3ヶ月ほど経つアイライナーはインクが枯れてきて、疲れ果てたカラスのようだった。 いつもと
2022年2月16日 19:11
トイレの鏡を見て、驚いた。菓子パンがついている。さっき、仕事中につまんだチョコ入りのパンを思い起こす。そうだ、電話がかかってきたから、とっさにマスクをつけたんだ。紐を耳にかけたあと、鼻のワイヤーをつまむ癖がある。ちょうど人差し指でつまんだだろう箇所に、菓子パンの欠片がついていた。 出かけるときに靴を履くように人と会うときはマスクを着けるようになった。急いで書類を届けるために階下
2022年2月14日 19:13
ボタンを押して、二歩後退する。壁と天井のへりを見上げながら、思う。「最近、目がかすむなあ」大理石風の壁をじっと見つめていると、ようやくピントが合ったようだ。横を向いたたぬきのような模様ができている。 それにしても最近寒い。ポケットに手を入れ、スマホを握るように持っていると、ぶるっと震えた。画面の表示を見ると、18:28その下に、通知がひとつ。「新着メッセージがあります」マス
2022年2月10日 19:06
黄昏時は不思議な時間帯。あと何回、わたしはこの美しい景色をゆっくりと見られるのだろう。そういう間にも、熟れたトマトのような陽が下りていく。 ぴゅーい。 ふいに、口笛が鳴った。意識せずとも、わたしは切なさに駆られると反射的に口笛を吹く。どこにも力を入れていないからか、まるでわたしの全身から発せられているようだ。ま、わたしの口から発音していることに変わりはないのだけれど。
2022年2月9日 19:03
リズムよい音が聞こえてきて、少し気分が高まる。カーテンを少しめくって、目でちゃんと確かめる。向かいの家の屋根の上は、灰色の雲。「雨だわ」その瞬間、花に水をやるように、わたしの心は生き生きとする。わたしはくせ毛で、偏頭痛持ちだけど、雨の日はきらいじゃない。頑張ってセットした時間を取り戻してほしいとも思わない。バファリンの容量も頭に入っていない。そんなことなんて、どうでもよくなってし