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蒼のしゃぼん

あわただしく朝ごはんが終わると、父は仕事で兄たちは学校へ出かけ、急に辺りから風が入ってくるのだけど、母だけは同じ温度で動いている。ここからしばらく母は食器を洗い続ける。

確かに5人分の洗い物は一仕事なのだけれど、今思うと手はあまり早くなく、いいのにと思うくらい丁寧。私は母の足元で、いつも夏の空のような濃い青、そしてふんわりした袖がゆらゆらしているのを、ただただ見ているだけ。洗剤の匂いが届くのを待っている。


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