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布団から2 #布団から #シロクマ文芸部 #小説(と、言う名の言い訳)


「布団から」から始まる
54文字を作るはずだった。

普段だったら、家族が揃わない時間帯。
外食だったり、仕事だったり。

もちろん私は
シロクマ文芸部の
お題を待っている時間。


昼過ぎに、珍しく息子から
[夕飯にパン焼いて]
とメッセージが届いた。
ガッツリ白米大好きっ子が
パンとは、珍しい。

久しぶりに、パン焼き機に
強力粉、その他諸々をいれて
スイッチオン。

♪〜
娘から夕飯のリクエストが届く。

パンにも合うので
ちょうど良いと、
冷蔵庫から取り出し
下ごしらえをする。

野菜もあるし、適当に
切っておく。

電気圧力鍋にセットすれば
あとは待つだけだ。

風呂でも用意しておこうか。
栓を締めてボタンを押せば終了。


めちゃくちゃ
家事をやっているようで
準備だけであとは
みんな機械任せ。


ひと仕事終えた感を出して
再び布団の中に潜り込む。

パンの焼ける匂いに
反応して、目覚めた。

スマホに
[アヒージョ食べたい]
とメッセージが入っていた。
[これ買った]
とホワイトマッシュルームと
ブラウンマッシュルーム
その他チーズやら
ツマミの写真が添付されている。

面倒くさいと思いつつも
冷蔵庫には、さっきの
写真の材料が入っていた。

シチューもパンも出来ている。
子供達は、お風呂に入った後のようで
のんびり夕飯を待っていた。


デザートまで食べ終えて、
各自、大体バラバラになるはずが
のんびりテレビを見ていた。

適当にザッピングしていると
[おトイレ ゆか 宙返り]
と謎のテロップがでた。

時刻は夜7時30分
「魔改造の夜」が始まった。

「魔改造」なんて
中二病心をくすぐるタイトル。

どうやら、大人が本気で
おもちゃを改造してなにか
するようだ。

出演者に伊集院光がいる時点で
この番組は面白いだろうと
確信した3人。

まったく意味の分からない
(良い意味で)
内容に、NHKの為
社名を出せないので
大手企業が
チームPナソニックとして
参戦していた。

もう、3人爆笑。

大体ゲームの目的が、
アヒルトイレを飛ばすって
時点で、面白いのに
チームの技術の凄さが
ハンパなくすごい!

この時点で、8時近くに
なっているが、CMが入らないので
テレビに釘付けになっている。

3人いれば
誰かしら、テレビ中でも
スマホをいじっている。
最悪、3人ともスマホを
いじりながら話してる事さえある。


各チーム真剣に
トイレに座ったアヒルを
的に立たせる為
試行錯誤しているのだ。
その姿があまりにも真剣すぎた。


時計が8時を過ぎても
頭の中にあったはずの
毎週木曜日の習慣を
思い出す事がなかった。


3チームそれぞれが
作品を持ち寄り対決する。


めちゃくちゃ緊張する。
内容、結果は
私が書いても伝わらないので
ハショてしまうが、
まぁ、手に汗握る
まじ、その場にいたら
泣くかもって感じで面白かった。

番組が終わってからも、
あの機械は、こうだ!
あの配線とパーツがあーだ!
と盛り上がった。

ちなみに、夕食は
全て綺麗に食べてテーブルに
そのままの状態だ。

だって、CMないから
キッチンに運ぶのも忘れてしまった。

ソースがカピカピになった皿と
オイルでテカテカな
スキレットもそのまま。

3人で盛り上がった
代償だ。仕方ない。

どうやら毎月
最終木曜日に「魔改造の夜」が
放送されるらしい。

ああ……これ
来月も同じパターンに
なりそうだ。

でも、スマホ越しじゃなく
顔を合わせて、
テレビに向かって
話すなんて、何ヶ月?
何年ぶりだろう。

いつも側にあるスマホ。
大切なスマホ。
なくては困るスマホ。

だけど今夜は
3人の会話が響いたリビング。
楽しかった。


ど忘れして、遅刻した
シロクマ文芸部に
10文字ホラーを投稿して、
言い訳の小説(言い訳)を
今書いている。

小さな偶然が重なって
大きな楽しみを発見した。

普通の事が普通に
出来ない私にとって
貴重な1日になった。

#布団から  
#シロクマ文芸部  
#小説
#魔改造の夜

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