生きていく　企画参加作品　カバー小説

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虎吉さんの作品を
カバーさせていただきました。

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寝汗の冷たさで起きた。
時刻は、04:21。

パジャマは、
びっしょりと濡れていた。
嫌な夢だった。

その夢を振り払うように
乱暴にパジャマを脱ぎ
ベッドの下に叩きつけた。

まだ起きるには早い。
クローゼットから適当に
大きめのTシャツを出して着る。

目覚ましが鳴るまで
再び眠りの世界へと向かおうとした。
が想像以上に汗をかいたようで
シーツまで濡れていた。

もう眠る気になれない。
シーツを剥がして、洗濯機へ放り込む。
そのまま、お風呂を溜めている間に、
シャワーを浴びる。


早すぎる時間だが、
ゆっくりと朝風呂に浸かって
悪夢を忘れようとした。


過去の思い出。
身体に残る傷痕。

私の中に未だに残る
幼い日の悪夢はまだ消えていない。

ゆっくりと時間をかけて
記憶を薄めていく。

時間というものは、
時に最大の味方となる。

もう大丈夫。
これから生きていく為に
あのおぞましい記憶を
薄めて行く。

忘れる事はできないだろう。
でも時間は、きっと……。

お湯に溶けていく入溶剤のように
私の記憶も溶けていく。

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