手紙
ガラスのような言葉を重ねて…君と僕は分かれた。
あれからもう10年。あの時本当に言いたかったこと、全く言えなくて。君を傷つけることでしか、終わりを見い出すことができなかった。
勝手に作った終わり。僕の時計を僕が止めた。
桜の花を見るたびに君を想う。
君の笑顔を想い出す。
願うは君が幸せであること、前を向いていること。
2020年、届いた一通の手紙。急に舞い降りた知らせには、君の新しい人生が刻まれていた。
君はもう10年先を歩んでいた。
春の寒い朝、凛とした姿で立つ桜のように。君はまっすぐに前をみて歩んでいたんだ。
いつか君に笑顔で会える日まで。
時計を進めることにしよう。
出来損ないで親不孝な息子だけれど。
誰よりも君のことを想っている。君の幸せを願っている。
桜の花をみてやっと思えた。
手紙でも送ろうか。君と君の新しい家族へ。
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