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私にとっては過去ではあるが息子にとっては未来であること。〜「コントが始まる」。

自分の部屋にスマホを持ち込むことを禁止とルールづけしている私に
とうとう息子が、「そろそろ、ええやん。」と言い出した。


息子16歳、高校一年生の扱いが、いや、その前、お腹にいた時から、
どう扱ったらいいのか、「取扱説明書」がついて送られてきたらどれだけ助かったかと何度も何度も考えたことをまだ考えている。

梅雨の日曜日。
せっかくの休日にもかかわらず、出かけることを進んでしない私たちは、
同じ部屋で惰性で作ったナポリタンを無言で頬張り、惰性でつけてるテレビに目もくれずにスマホと向き合っている。二人でいるのにとても一人。
孤独って感じでもないし、寂しいからそこにいるわけではなく、
むしろスマホの画面の中があまりにもごちゃごちゃしているものだから、
じっとしていても、実はとてつもなく忙しいのだ。

息子のスマホの世界はおおよそがTikTokと漫画とお気に入りのYouTube、知らない人とも簡単に繋がれるインスタ、知ってる人との位置情報が確認できるやつ、短い「り」だけで伝わるラインと、ゲームと私の知らない世界が満載で、

私のスマホの世界とは大きく違う。
私はというと、Yahooのニュースを見たりTwitterを見たり。
指でスマホに文字を打つことが超苦手な私は、思ったことをすぐに書けないことが
スマホのデメリットであるので、もっぱらインプットばかりしていて、
でも、スマホの画面で映像を見るのは、ものすごく疲れるし、
本だって、紙で読まないとなんだか読んだ気になれないので、
隣で聞こえてくるスマホから発せられる私にとっての「雑音」が嫌で
家にいてもイヤフォンは欠かせないアイテムになった。
本を読むときは、日本語の歌詞が入らないジャズを聴き、
家事をするときは、日本語で情報が入るようにラジオを聴いて居る。

山下達郎のサンデーソングブック、いわゆる「サンソン」を毎週聴くのが
私の楽しみで、それは息子がいようがいまいが関係なく、14時開始を意識し、
ぱかっとイヤフォンの蓋を開けて耳に突っ込み、
ギタリスト寺内タケシ氏の追悼特集を聞き入っていたら、後半、
がさっと音がしたので何かしらと思うとジュースとポテチを取り出した息子が
笑顔で私に何かを言っている。聞こえない。

しょうがないなあ。と、諦めてイヤフォンを外し、
それでも話すこともないし、面白そうな番組もテレビではやっていなかったから
あ、こういう時の録画頼み、二人の妥協点。全録画していた「コントが始まる」
を1話から見始めてようやく息子は、スマホから目を離す。

よくできたドラマだと再度見て思った。なるほど群像劇。
28歳といえば、息子の12年先の出来事で、
私にとっては、22年前のことなんだな。
でも、私の22年前の28歳は、令和の今の28歳の感覚が全く違うことを
確かめるように見ていたような感じで。

息子がどう思って居るのかを余計なお世話ながら想像してしまい、
でもそれを口に出すことはいけない、そして反応してはいけないと固まりながら見ていた。なんの我慢大会なんだろう。と、ずっと思ってて、

そう、私には、もう終わった話なのだ。

終わったのは私の過去の話で、これからは、その若さはないけれど、
何かが始まるんじゃないかなという期待があるから生きている。
あれれ?こんな歳になってまで何かをはじめてワクワクしようとしている私はなんだか申し訳なさも持っている。

「きゅん」をググったら、ちゃんとウイキペディアで解説されていたけれど、
「生きづらい」をググったら、ウイキペディアには無いことを最近発覚して
それに関する自己啓発本や漫画のようなものが羅列されている。
どうやら「生きづらい」と感じている人は、少ないのかもしれないということはわかっていることだけれど、「得体の知れないモヤモヤ、怒りのようなもの」が、
人に備わっている機能だとしたら、ほぼほぼの人は無意識で生きづらいのだろう。

「コントが始まる」の最終回は、素敵な王子様と幸せな結婚をしましたとさというハッピーエンドではなくて、まだ始まったばかり、これからを最後に表現した稀有なドラマだと思った。一人一人の物語に寄り添い、共感していく様が、私には面白く感じたけれど、息子には、この先生きていてもどうなるかを諦めず生きてほしい。と思うのは親のエゴだろうか。

そもそも結婚が幸せではなくなったと、最近つくづく思う。
誰かと一緒に暮らすなんて、息子と暮らしていても不自由を感じるのだから、
これから一瞬のトキメキや恋だけで結婚に至ることはないと、
私は決めている。だからどう一人で生きていくかを考えて生活している節もある。

ある人が、「私は私で幸せで、あなたがいればもっと幸せ」と言った。

私は私の幸せを他人を優先することなく生きていきたい。

「ドラゴン桜」でも何度も言われていた、

お前の人生なんだから、お前が決めろ。

この言葉を息子は、本当にわかっているのだろうか。
親としては、見習って東大目指して
そんなに勉強しないで!っていうくらいに、
勉強してもらいたいところだが、
現実は、そう甘くない。

高卒でいいのかな、大学には行かなきゃならないのかな、
ま、私の人生じゃないしね。
なので私は、私の幸せをもっと優先すべきなんだな。
読まなくてもなんとなくわかる林真理子の売れている小説
「5080」になる日も、あっけなく早く始まるのかもしれない。

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