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死の国の彼方へ【掌編小説】
俺は、思っていた。いつか、資格を、取ろうと。ずっと、ほしい資格が、あったから。来月から、勉強を始めよう。再来月から、始めようって、そう、思っていた。
まさか、死ぬとは、思わなかったんだ。笑うよな。まだ、27歳だって、いうのに。父親も母親も、普通に生きてる。じいちゃんも、ばあちゃんも。なのに、な。
来年から、始めたって、いいだろ? 再来年からだって。俺には、まだまだ、人生が、残されてるんだし。まだまだ、色んなことが、待ってる、はず。
まだ、結婚だって、しちゃいない。経済的な成功も、収めちゃいない。何も、何一つ、収めちゃ、いない。なのに、な。
意識が、とおのいて、ゆく。さっき、まで、普通に、明日のことを、考えていたって、いうのに。明後日の、予定さ。
まさか、歩道を、普通に歩いていて、車に、突っ込まれるとはな。運? そんなこと、ないだろ。俺に、そんな、不運、訪れるわけない。会社帰りに、普通に、道を、歩いてた、だけなのに。ただ、それだけ、なのに。恋人とLINEしながら、普通に。
こんなこと、なるんなら、もっと、もっと、やりたいこと、やるべきだった。チャレンジ、したいこと、たくさんあった。資格に限らず。色んな、所に、旅行して、色んな、ことを、経験し。
意識が、甘くなる。サイレンが、聞こえる。俺は、もう、ダメなの、か? 脳から、何かが、こぼれてる。緑の液体が、止まらない。フフフ。笑って、済むのなら。全て、笑って、済むの、な。
やりたいことを、やるべきだ。人間、いつ、死ぬなんて、分からない。やりたいことを、やるべきだ。今すぐ、やりたい、ことを、や…
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