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なんで面白がれるのか、我ながら不思議:読書録「笑犬楼vs.偽伯爵」

・笑犬楼VS. 偽伯爵
著者:筒井康隆、蓮實重彦
出版:新潮社(Kindle版)

筒井康隆、蓮實重彦、両方とも僕はあまりいい読者ではないし(読んでるのは筒井さんで10冊以内、蓮實さんは2、3冊)、お二人の対談で取り上げている「大江健三郎」については、
「これはもう、お付き合い出来かねます」
と敵前逃亡状態なのですから(「万延元年〜」はなんとか。あと2、3冊は手にしたかなぁ)、なんで読む気になったのやら、自分でも不思議。
でまあ、読んでみたら、なかなか面白かったりするんですよね、これが。
対談で盛り上がってる戦前・戦中の映画なんか、ほとんど見てないのにw。


本としては三部構成。
一部が「大江健三郎」を巡る対談。
二部がそれぞれの作品(「伯爵夫人」「時をかける少女」)の批評。
三部が往復書簡。
となっています。
具体的な作品やら人の名前やらがバンバン出てきて、それに関する批評なんかもされてるんですが、僕にとっては大半が、
「聞いたことがあるけど、具体的にはチョットわかんない」
ってコトばかり。
それを楽しそうに、重要そうに語り合うお二人。
…その様子が、側から見てて面白いってことなんですかねぇ。
我ながら、チョット分かんないな。ここら辺の面白がり方。


(例えば対談での蓮實さんの発言。

<何かしら甘美で風俗的に身近なものを文学に求め始めるという傾向が村上春樹いらい顕著に認められ、これは非常にいかがわしく、困ったことだと思っております。>

「らしいなぁ〜」と面白く読んだんですが、僕は村上春樹好きなんですよねw)


筒井さんが「88歳」
蓮實さんが「86歳」
ですか。
その年齢で、こういうやりとりをやってるところが面白く感じられるのかもしれません。
自分たちの知ってること、感じてること、考えること。
それらを語り合ってるんだけど、別にそれを他の人に押し付けようとしてるわけでもないですしね。
昔のことを語っているようで、語っているのは「今」の自分であり、「今」の感覚・考えで語っている。
ちゃんとインプットもされています。
お互いの間ですら意見が合わないところもあって、それはそれでこだわりなく流していくあたりもいい感じです。


まあ、こういう「お爺さん」にはなれそうもないなぁ。
なりたくてなれるもんでもないしw。
ただまあ、このインプットへの前向きさは見習いたいと思います。
そこを忘れたら、「老害」一直線な気もしますし。

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