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願ってたような「大人」にはなっていませんが:読書録「大人の条件 さまよえるオトナたちへ」

・大人の条件 さまよえるオトナたちへ
著者:林伸次
出版:産業編集センター

<僕、池波正太郎の『男の作法』や、山口瞳の『礼儀作法入門』が好きで、若い頃によく読んだのですが、今、読むとやっぱりいろんなしきたりが古いから、それの現代版みたいなのをいつか自分の手で書いてみたいなって思ってたんですね。
その池波正太郎と山口瞳の系譜にあたる常盤新平の『新・おとなの流儀 威張ってはいかんよ』という本があります。
常盤新平は池波や山口よりも、少し控えめで「いや自分も全然ダメなんだけど」って感じで自戒をこめて書いてまして、「今回の本は、あの感じでどうでしょうか」と前田さんに提案してみました。>

「おわりに」の一部ですが、池波正太郎・山口瞳・常盤新平、まさにこの3人のこの作品のことを思い出しながら読んでました。
林さんは69年生まれ。僕は65年生まれ。
似た感じの読書経験を持ってるってとこでしょうか。(本文中にあった「佐野元春」に対するスタンスなんかも通じるところがありますw)

そういう観点から言うと、林さんのお話は常盤新平さんよりも控えめで、すごくいい感じでした。
池波・山口の作法本って、僕も大好きなんですけど、今から見ると(というか、僕が読んだ時点でも既にそういう向きはありました)ちょいと時代錯誤的なとこ(特にハラスメント系)があったんですよね。
実用本じゃないんで(と僕は思ってます)、「それを抜き」にしては成立しない作品ではあるんですが、あの頃僕が読んで感じた「そうなんだ〜」って、ちょっとした「大人への憧れ」感は、やっぱり大事なんじゃないかな〜と思うんです。

林さんのお話は、「憧れ」を掻き立てるにはちょっと優しすぎるかもしれませんが、「今」だとこんな感じなんじゃないですかね
少なくとも大御所がお書きになる「オトナ本」よりは、僕はしっくり来ましたw。
「そうだよな〜」と思うところもあれば、
「う〜ん、そこはどうなんだろう」って思うところもあったけど。
それはまあ、僕も50超えて、色々自分で「思うところ」もありますからね。
(でも「いやぁ、これは気をつけなきゃな」って気づきになるとこも結構ありました)

ハラスメントが色々指摘され、PCへの動きがある一方で、その反動もあり、目まぐるしく評価や価値観が変化している中で、「大人」が呟く指針としては、いいとこに収まってる作品なんじゃないか、と。


<自分より下の世代の人たちに「飲みに行きましょうよ」とか、「今度、食事行きましょうよ」とか、「バーって行ったことないんで、連れてってくださいよ」とかって言われたことはありますか?もしかして、若い世代から「今度、飲みに連れて行ってくださいよ」って言われるのが、一番カッコいいことなのかもしれません。>

いやぁ、あんまりないなぁw。
そう言うコミュニティ、作れてないなぁ。

…と反省しつつも、「まあ、それはそれ」とか思ったりもしてw。
50すぎのオッサンが読んで思うなら、そんな感じにもなるんじゃないでしょうか。
ちょっとした苦味も感じつつ。

もし若い世代に誘われたら、この本でも薦めて…
…いや、そういうの、嫌がられるかもねw。
本との出会いって、それはそれで難しいもんです。

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