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2020年10月の記事一覧

今のところ程よい「重さ」ですが、不穏な気配もw:読書録「P分署捜査班 集結」

今のところ程よい「重さ」ですが、不穏な気配もw:読書録「P分署捜査班 集結」

・P分署捜査班 集結
著者:マウリツィオ・ジョバンニ 訳:直良和美
出版:創元社推理文庫(Kindle版)

めっきり重くなっちゃった「特捜部Q」(しつこいw)と、コメディ感があって軽妙な「パリ警視庁迷宮捜査班」。
ナポリを舞台にした本作は、「その中間」…ってとこでしょうか?
はみ出し者が集まってチームになって事件を解決する…って構図は共通するんですが。

作者はイタリア版「87分署」を狙ってるら

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ガチなミステリーというよりは、コメディ寄りの楽しい物語って感じ:読書録「パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー」

ガチなミステリーというよりは、コメディ寄りの楽しい物語って感じ:読書録「パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー」

・パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー
著者:ソフィー・エナフ 訳:山本知子、山田文
出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版)

邦題がもう、「コメディ」寄りw。

はみ出し者を集めた特別班といえば「特捜部Q」シリーズですが、あっちがどんどんシリアスになってるのに比べたら、こっちは(各メンバー、いろんな悩みを抱えてるんですが)スラップスティックまでは行かないけど、かなりコメディ色が強い仕上

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鑑賞の一つの「尺度」として、面白かったです:読書録「絵を見る技術」

鑑賞の一つの「尺度」として、面白かったです:読書録「絵を見る技術」

・絵を見る技術 名画の構造を読み解く
著者:秋田麻早子
出版:朝日出版社

絵画鑑賞に関しては僕は完全に「感覚派」(言い換えれば、「何も考えずに見る」w)なんですけど、そう言うスタンスでも、
「なるほどね〜」
って感心させられました。
「感覚派」とか言いながら、美術館では結構「音声解説」を使ってるんで、絵の描かれた背景とかは割とインプットされてるんですよね。
それよりもこういう見方っていうのは、よ

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娯楽小説として申し分ないです:読書録「葬られた勲章」

娯楽小説として申し分ないです:読書録「葬られた勲章」

・葬られた勲章<上・下 >
著者:リー・チャイルド 訳:青木創
出版:講談社文庫(Kindle版)

トム・クルーズが映画化したことでも知られる<ジャック・リーチャー >シリーズの、日本翻訳の最新作。
日本では「最新作」ですが、本国で出版されたのは「2009年」、現在24作まで出版されているシリーズの13作目…と言うことです。

とは言え、それほど「時代」は感じさせませんがね。
「ウサマ・ビン・ラ

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「進めてみて、マズいところがあったら修正する」という線しかない:読書録「虚妄のIT立国ニッポン」

「進めてみて、マズいところがあったら修正する」という線しかない:読書録「虚妄のIT立国ニッポン」

・虚妄のIT立国ニッポン
著者:新型コロナ問題取材班ほか
出版:宝島社

「技術のニッポン」
とか言って「過去の栄光」で自分を誤魔かすんじゃなくて、
「決定的にデジタル化は欧米にも、アジアにも遅れていて、ここで舵を取り誤ったら、国家としての衰退の道を歩んでいくしかない」
くらいの気持ちで取り組んでいかなきゃいけない。

…ってのが読後感ですかね。
そのことが、この半年の「コロナ騒動」でよく分かった

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「大笑い」させてもらうつもりだったんですが…:読書録「悔しみノート」

「大笑い」させてもらうつもりだったんですが…:読書録「悔しみノート」

・悔しみノート
著者:梨うまい
出版:祥伝社

<「ジェーン・スー生活は踊る」のお悩み相談コーナーから生まれた本>

…ってことで、「これは楽しく笑えそう」と、深く中身もチェックせずに購入したんですが…。

…いやぁ、なんだろ。
笑えるとこもあるんですけど、全体としては…「しんどい」。
一気に読み終えたので、「読ませる」のは間違いないんですが、「楽しめる」って感じじゃないんですよね。
「25歳」?

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西欧的民主主義が日本には根付いていないから、日本らしい方法で…とか言い始めるとヤバイとは思ってます:読書録「たちどまって考える」

西欧的民主主義が日本には根付いていないから、日本らしい方法で…とか言い始めるとヤバイとは思ってます:読書録「たちどまって考える」

・たちどまって考える
著者:ヤマザキマリ
出版:中公新書ラクレ

ヤマザキさんがそう考えてるって訳じゃないんですよ。

<ここまで書いてきて感じているのは、日本はもしかすると、成熟すること自体に興味がない国なのかもしれな、ということです。日本へやってきた多くの外国人がかつて覚えた印象通り、無邪気で天真爛漫で、時々背伸びを楽しみたいだけの国かもしれない。
だとしても、世界的な先進国の基準に合わせたい

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連作の色合いが強い新シリーズ:読書録「ネヴァー・ゲーム」

連作の色合いが強い新シリーズ:読書録「ネヴァー・ゲーム」

・ネヴァー・ゲーム
著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋(Kindle版)

ジェットコースターっぶりは相変わらず。
大向こうを張るどんでん返しより、捻りとドライブが効いた展開。
…って感じでしょうか。

少し前なら「リンカーン&アメリアの方を早く」と思わなくもなかったんですが、あっちの関係性が安定してきたので、「新シリーズもいいかな」って気分になりましたw。
連作長篇…

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もう一歩、実務的なところに踏み込んだ話が聞いてみたい:読書録「共鳴する未来」

もう一歩、実務的なところに踏み込んだ話が聞いてみたい:読書録「共鳴する未来」

・共鳴する未来 データ革命で生み出すこれからの未来
著者:宮田裕章
出版:河出新書

「人新世の『資本論』」が、資本主義に対抗する新しい<コミュニズム>を打ち出してるのに対して、個人的には「(少なくとも日本では)まだ資本主義の枠組みでやるべきことがあるんじゃないかな?」と感じています。
その期待は「技術革新」、そのベースにあるのが「データ活用」なんですが、その「データ活用」の現状を確認する意味で本

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こっからやん!:読書録「死亡通知書 暗黒者」

こっからやん!:読書録「死亡通知書 暗黒者」

・死亡通知書 暗黒者
著者:周浩暉 訳:稲村文吾
出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版)

「一気に読んじゃう」
と評判の中華ミステリ。
一気に読んじゃいましたw。

「三体」同様、本作も3部作の一冊目。(主人公の「羅飛」のシリーズはもっと他にもあるようですが)
怒涛の展開で、ある「決着」は着くんですが、「こっからやん!」ってとこで本書は終了します。
いやはや。
早く次が読みたい!

基本的に

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