マガジンのカバー画像

書記の読書記録まとめ

1,291
今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

書記の読書記録#955『分数と小数から広がる整数の世界 ~フェルマーの小定理からアルチン予想まで~ (数学への招待)』

中島 匠一『分数と小数から広がる整数の世界 ~フェルマーの小定理からアルチン予想まで~ (数学への招待)』のレビュー レビュー循環小数における性質を素朴な方法で読み解いていく,フェルマーの小定理の特別な場合だと分かった時はすっきりした。 もくじ第1 章 不思議な数 1.1 不思議な数 その1 1.2 小さな不思議 1.3 不思議がおきない数 1.4 不思議な数 その2 コラム1 二進数と完全数(前編) 第2 章 小数に関するまとめ 2.1 整数の表記 2.

書記の読書記録#954『復刻版 位相幾何学から 射影幾何学へ』

横田 一郎『復刻版 位相幾何学から 射影幾何学へ』のレビュー レビュー同著者『新装版 やさしい位相幾何学の話』の姉妹本で,図を用いた基本概念の説明が豊富である。射影幾何学の入門にもなるので本書の方がお得か。 もくじ1 位相幾何学の話(図形を位相的に見ること;極限と位相;図形の直積;compact集合;連続写像 ほか) 2 射影幾何学の話(平面射影幾何;体Kから平面射影幾何KPの構成;射影、切断と6点図形;平面射影幾何Pから体Kの構成;平面射影幾何と体の間の全単射 ほか)

書記の読書記録#953『トポロジーへの誘い[新装版] 多様体と次元をめぐって』

松本 幸夫『トポロジーへの誘い[新装版] 多様体と次元をめぐって』のレビュー レビュータイトルからはトポロジーの入門書と思わせておいて,最終的には現代の研究にまで案内される。 もくじ第1章 トポロジーと次元 1次元,2次元,3次元,etc.,… 第2章 偶数次元か,奇数次元か オイラー標数 単体とオイラー標数 n次元球面S^n 第3章 独立した空間 多様体とは 多様体の直積 多様体の代数的トポロジー 第4章 次元が4の倍数かどうか 曲面の向きと交わりの符号 交点数

書記の読書記録#952『新装版 やさしい位相幾何学の話』

横田一郎『新装版 やさしい位相幾何学の話』のレビュー レビュー位相幾何学を理解する最初の手がかりとして,図による具体例を紹介した教科書。 もくじ第1章 図形の見方 第2章 ユークリッド空間の位相 第3章 位相同型写像 第4章 Euler‐Poincr´e指標 第5章 図形の構成 第6章 その他2、3の話題 付録 位相空間 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#951『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』

江崎貴裕『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』のレビュー レビュー統計解析のごくごく常識的な内容を噛み砕いて説明した入門書で,ビジネス層向けとの両立という点では上手くいっていると思われる。 もくじ第一部 データの性質に関する基礎知識 第1章 観測は簡単ではない 第2章 誤差とばらつき 第3章 データに含まれるバイアス 第4章 交絡因子と因果関係 第5章 データサンプリングの方法論 第二部 データの分析に関する基礎教養 第6章 データの扱い 第

書記の読書記録#950『糖鎖生物学―生命現象と糖鎖情報―』

北島 健,佐藤 ちひろ,門松 健治,加藤晃一『糖鎖生物学―生命現象と糖鎖情報―』のレビュー レビュー糖鎖は,DNAやタンパク質に続く情報を担うものとして注目されている。本書では,受精・神経・免疫・癌・感染などにおける糖鎖の研究がまとまっている。 もくじ はしがき   第Ⅰ部 糖鎖生物学概論 Ⅰ-1 生物と糖鎖     1.1 生体分子としての糖質     1.2 糖鎖の存在分布:糖鎖は細胞の全領域に存在する Ⅰ-2 糖鎖の構造     2.1 糖質とは     2.2 単

書記の読書記録#949『代数と数論の基礎 (共立講座 21世紀の数学)』

中島 匠一『代数と数論の基礎 (共立講座 21世紀の数学)』のレビュー レビュー初等整数論→環と体→群論の手順で進む代数学の入門書で,新妻『群・環・体入門』や松坂『代数系入門』と比べながら読んだ。本書は同著者による『代数方程式とガロア理論』の前段階としても使うことができる。 もくじ1.初等整数論 1.1 自然数 1.2 整数 1.3 整数の合同 1.4 素数の話 章末問題 2.環と体 2.1 基本事項 2.2 体と整域 2.3 多項式環 2.4 イデアルと剰余環 2.5

書記の読書記録#948『オンライン機械学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』

海野 裕也,岡野原 大輔.得居 誠也,徳永拓之『オンライン機械学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』のレビュー レビュー本書の内容自体は.オンライン学習でもバッチ学習でも適用できるような機械学習の原理が大半である。他の本に比べると最適化手法の紹介数が多いか。 もくじ第1章 序論 第2章 準備 第3章 基礎 第4章 発展 第5章 性能解析 第6章 実装 付録A 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#947『ロシアのユーモア―政治と生活を笑った300年 (講談社選書メチエ)』

川崎 浹『ロシアのユーモア―政治と生活を笑った300年 (講談社選書メチエ)』のレビュー レビューロシアのアネクドートについて,3つの時代に分けてその変化を論じる。昔読んだ米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』は,アネクドートの精神を見事に表していたように思う。 もくじ第1章 アネクドートの誕生(近代国家の祖=ピョートル大帝の笑い;機知に富んだエカテリーナ女帝;近代アネクドートの最盛期) 第2章 民衆たちのテーブル・トーク(市民たちが見たレーニンとスターリン;抑圧の絆が

書記の読書記録#946『深層学習 改訂第2版 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』

岡谷 貴之『深層学習 改訂第2版 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』のレビュー レビュー深層学習の原理について,さまざまなタスクな対するモデルがまとまっている。2022年1月に改訂版が販売され,深層学習のトレンドがさらに広く記述されている。 もくじ第1章 はじめに 1.1 研究の歴史 1.2 本書の構成 第2章 ネットワークの基本構造 2.1 ユニットと活性化関数 2.2 順伝播型ネットワーク 2.3 学習の概要 2.4 問題の定式化:出力層と損失関数の設計 第

書記の読書記録#945『ガロア理論入門 (ちくま学芸文庫)』

エミール・アルティン(訳:寺田 文行)『ガロア理論入門 (ちくま学芸文庫)』のレビュー レビュー簡潔ながらもガロア理論の要点がまとまっており,初学者の参考書の一つとして使える。 もくじ第1章 線形代数(体;ベクトル空間;同次線形連立方程式 ほか) 第2章 体論(拡大体;多項式;代数的要素 ほか) 第3章 応用(群論からの追加;方程式の累乗根による可解性;方程式のガロア群 ほか) 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#944『代数方程式とガロア理論 (共立叢書 現代数学の潮流)』

中島 匠一『代数方程式とガロア理論 (共立叢書 現代数学の潮流)』のレビュー レビュー新妻『群・環・体入門』の続きとしてガロア理論に入門するために使用。具体例が多く初学者でも使いやすい構成だと思う。 もくじ第1章 代数方程式 1.多項式の根 2.微分 3.対称式 4.代数方程式の解の公式 演習問題 第2章 多項式の既約性 1.既約多項式 2.整数係数多項式 3.分離多項式 演習問題 第3章 線型空間 1.基本事項 2.線型独立性 3.線型空間の基底と次元 4.次元の性

書記の読書記録#943『告白(町田康)』

町田康『告白』のレビュー レビュー大量殺人事件が伝統芸能として語られるというのは不思議な気もするが,そういう伝統が根付いているのだと思うことにする(『忠臣蔵』みたいな?)。町田康はその現代アレンジをしたということなのだろう。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#942『創薬研究のための相互作用解析パーフェクト〜低中分子・抗体創薬におけるスクリーニング戦略と実例、in silico解析、一歩進んだ分析技術まで (実験医学別冊)』

津本 浩平,前仲 勝実(編集)『創薬研究のための相互作用解析パーフェクト〜低中分子・抗体創薬におけるスクリーニング戦略と実例、in silico解析、一歩進んだ分析技術まで (実験医学別冊)』のレビュー レビュー創薬化学において中核をなす相互作用解析について幅広い手法をまとめた本。創薬を協働で進めるには必携だろう。一方で手法の原理を知るには各分野の専門書が必要。 もくじ第1章 創薬における相互作用解析のスタンダード I 低中分子創薬 1 低分子・中分子創薬における相互