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思い出「漢の料理」

【お盆休み】

7歳の時。

8月中旬、父親がお盆休みを取った。

お盆休みは、1週間。

当時の父親は、印刷会社で働いていた。

お盆休みは、会社ごと休みになっていた。

当時のお盆休みは、個々に曜日をずらして取らない。

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【昔の社会】

当時のお盆は、周りの会社が一斉に同じ日に、お盆休みに入ってしまう。

スーパーも、商店街も、会社も、全部休みになる。

なので、お盆休み前は、1週間分のたくわえを買わないとならなかった。

逆に、商事会社、テレビ局、旅館などは、365日休みなく働いていた。

会社の休みがないのではなく、従業員の休み自体が無い。

それが普通の時代だった。

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【いつもと違う朝】

父親がお盆休みの時、俺は、いつものように夏休みを過ごしていた。

朝6時に起きて、Uチャンネルの地方番組でアニメを見る。

そうすると、いつもは、母親と父親が起きてくる。

でもこの日からは、父親がお盆休みの為、家族は起きてこない。

そんな時は、弟と超合金のおもちゃで、遊んでいたりした。

しばらくするとお腹が空いてきて、強制的に母親を起こす。

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【お盆初日】

この時、母親は、寝かせてくれと言い、起きてくれない。

仕方ないので、俺と弟は、冷蔵庫の中から食料をあさる事にした。

そうしたら、チョコレートを発見!

これは母親が、我々のおやつ用に買って来てくれていた物。

でも我々は、このチョコを半分に分け合い、勝手に食べて空腹を満たした。

しかし次の日は、ちょっと違った。

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【父親の朝】

いつものように我々兄弟は、朝6時に起きて、アニメを見る。

その後、お腹が空いてきたので、また母親を起こす。

でも、やっぱり起きてくれない。

しかし、父親が起きて来てくれた。

そして、お母さんは疲れてるから、まだ寝かせておいてあげなと言われた。

なので今日は、父親が朝ご飯を作ってくれると言う。

この時、我々兄弟は、久しぶりの父親の手料理で、凄く喜んだ。

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【父親の手料理】

でも以前、父親が手料理をして、大失敗した事が頭をよぎった。

しかし、背に腹は代えられなかったので、父親に任せてみる事にした。

そして、父親の爆弾処理の様な手料理が始まった。

父親が冷蔵庫の中をあさると、冷やされたご飯を発見した。

それで、チャーハンを作ってくれると言う。

それを聞いて、我々は、凄く出来上がりが楽しみになった。

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【男のチャーハン】

しばらくして、父親の手作りチャーハンが完成した。

チャーハンに具は入ってなかったが、卵焼きが乗っかっている。

更にチャーハンは、醤油味でいためられていた。

その味は、母親が作った物とは、全く別物だった。

正直、凄く美味しい。

母親の料理と違って、味が濃くて凄く美味しい。

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【違いの解る男】

実は、母親は、薄味が好きで、いつも自分好みの薄味にしていた。

でも我々男は、濃い味付けが好み。

なので、いつも母親の料理に不満だった。

でも、今回作ってくれたチャーハンは、父親好みの濃い味付け。

我々兄弟は、この味付けに、超ご満悦になった。

やるじゃん父親!

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【ノリノリ朝食】

そして次の日の朝。

我々兄弟は、またあのチャーハンが食べたくて、父親を起こした。

そうしたら、また作ってくれると言う。

どうやら父親も、我々兄弟に好評だったのが嬉しいようだ。

そして父親は、ルンルンしながら、また冷蔵庫をあさり始めた。

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【父親はコックさん】

父親は、冷蔵庫の中から、卵とハンバーグを取り出しきた。

これで、ハンバーグと卵焼きを作ってくれるらしい。

我々は、凄く楽しみに出来上がりを待つ事にした。

ハンバーグは、レトルトなので、おゆで温めるだけ。

卵焼きは、卵を6個も使って山盛り卵焼きを焼いてくれた。

そして料理ができ、食べてみたら、また母親の味とは違い凄く美味しい!

我々は、また父親の料理に超ご満悦になった。

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【母親の叫び】

しばらくしたら、母親が起きてきて、朝ご飯はもう食べて事を伝えた。

そして我々男性陣は、母親の仕事を減らせて、喜んでくれると思った。

しかし母親は、嫌な予感がする顔をして、冷蔵庫を開けてみた。

その瞬間「キャ━━━━(#゚ロ゚#)━━━━ッ!!」と悲鳴を上げた。

そして「食料がたくさん無くなってる!」と、青ざめてしまう。

どうやら父親は、母親が予定していた献立を無視して食料を使ったようだ。

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【逆効果】

母親は、この冷蔵庫の中身を見て、案の定キレ始めてしまう。

お盆休みで、お店が全部閉まるから、1週間分の食料買い溜めしていた。

でも父親は、その貴重な食料を、たくさん使ってしまった。

その為、食料が1週間分持たなくなってしまったのだ。

母親は「どうするのこれ!」と父親にキレている。

それに対して父親は、謝る一方の状態だった。

我々兄弟も、何だか悪い事したみたいで、悲しくなった。

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【余計な事】

その後、父親と我々兄弟は、しばらく「ショボ──(´・ω・`)──ン」となった。

母親の仕事を少なくする為に、父親が料理をしたが、逆効果になった。

そして次の日の朝食からは、毎日ご飯とみそ汁と漬物のみになってしまう。

なんとも味気ない朝食になった。

夕飯も、オムライスとか予定していたらしいが、それも無くなった。

ご飯と、味噌汁と、キムチだけだった。

我々男どもは、良かれと思ってやったのに、大失敗してしまった。

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