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思い出「マジック・ブック」

【解読された文字】

6歳の時。

やっとひらがなが、全部読めるようになった。

自分でも、これが嬉しくて、よく絵本を読むようになっていた。

しばらく絵本を読み続けていたら、かなりひらがなに慣れた。

そんなある日、母親が「コロコロコミック」と言う雑誌を買って来た。

その表紙は、子供心くすぐる、凄く派手でかっこ良い絵が描いてある。

俺は、興味津々で、コロコロコミックを読み始めた。

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【純粋さ】

コロコロコミックは、漢字に全部ひらがなが振ってある。

6歳の俺でも、凄く読みやすく、物語も子供向けで解りやすい。

俺は、コロコロコミックの漫画が凄く面白くて、何時間も読んた。

1つ笑いのツボの場所があると、何度も読み返して、何度も笑っていた。

もう、笑いのツボの場所が、全然飽きなくて永遠に面白い。

多分母親は、何時間も笑ってる俺を見て、心配になったかもしれない。

俺もよく解らないけど、同じ所なのに、面白さが全然飽きなかった。

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【超人キンタマン】

俺は、まだ字を読むのが、凄く遅い。

1冊のコロコロコミックを、1週間かけて読んだ。

そして更に、1月かけて同じマンガを読み続け、ずっと同じ所で笑った。

特に好きだったマンガは「超人キンタマン」と「プラモ狂四郎」

超人キンタマンの下ネタが、とにかく笑えた。

あれは、子供にとって、面白くてたまらない。

何度読み返しても笑える。

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【プラモ狂四郎】

プラモ狂四郎は、ガンダムのプラモの改造が、特にくワクワクした。

まるで魔法をかけた様に、凄くかっこよく、ガンダムを改造していく。

しかも、改造方法の解説までしてくれて、俺にも出来るという錯覚がした。

でも、実際にやってみたが、下手くそすぎて上手く行かなかった。

でも、物理的に可能な改造で、凄く納得いく説明。

更に、改造したプラモ同士で戦わせる事が出来て、まるで夢の様な感動だ。

この漫画は、俺の大和魂を奮い立たせて、のめり込ませてしまった。

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【ワクワク】

1月かけて読み終わると、次のストーリーが知りたくなる。

そして俺は、学校帰りに本屋に寄り道して、立ち読みする事にした。

本屋では、立ち読みが禁止されていたが、お構いなしだった。

そして俺は、一直線にコロコロコミックのある場所に向かった。

そこで今月号の、コロロコミックを発見して、立ち読みを始めた。

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【ゲラゲラ】

俺は、ここで1時間以上立ち読みをしていた。

その間、ずっと大声でゲラゲラ笑っている。

本屋の店員の事や、周りの客の事なんて、全く気にしなかった。

俺は、とにかく面白くて、ランドセルを背負ったまま笑い続けた。

しばらくすると、本屋の店員が俺のそばに来た。

そして「もう5時だから家に帰りなさい」と言ってきた。

俺は、母親に叱られるのが嫌で、仕方なく帰る事にした。

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【理性が効かない面白さ】

家に帰ると案の定、寄り道した事を叱られてしまった。

次の日からは、ランドセルを置いて、本屋に立ち読みに行く事を決意した。

翌日、1度家に帰り、また本屋に立ち読みに行く。

その本屋で、またコロコロコミックを探し当て、読み始める。

そしてまた、大声でゲラゲラ笑い、立ち読みを満喫した。

俺は、こんな事を、これからしばらくの間、続け行く事になる。

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【喜びと驚き】

1週間位したある日。

俺は、また本屋に立ち読みに行った。

そして、コロコロコミックを見つけ、またゲラゲラ笑いだす。

そうしたら、突然母親が真横に居て、もの凄くビックリした!

そして母親に「毎日ここにきて大声出しちゃだめじゃない!」と叱られた。

でも、コロコロコミックが面白く「立ち読みしたい!」と駄々をこねた。

母親は、困った顔をしたが、仕方なくコロコロコミックを買ってくれた。

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【壁に耳あり障子に目あり】

この後母親は、俺が毎日来て大声で笑っていた事を、店員に誤っていた。

でも店員は「声を聞いてた我々も笑えたから構わないよ」と言ってくれた。

そして俺は、母親と一緒に家に帰っていた。

俺は、何で居場所が分かったのか、母親に聞いてみた。

そうしたら、クラスの女子が、俺の母親にチクったらしい。

いつも本屋でうるさいと・・・。

俺は「別に良いじゃん、だって面白いんだもん」と、ふてくされた。

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【女子達】

この事件以来、母親は、毎月コロコロコミックを買って来てくれた。

きっと、母親にとっては、大恥をかいた事件だったのだろう。

でも俺にとっては、毎月コロコロコミックが読めるので、嬉しかった。

そして翌日。

学校に行くと、女子達に「立ち読みしたらダメなんだよ!」と責められた。

俺は、仕方なく平謝りして、許してもらった。

この年頃の女子達は、ウザイ!

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