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小説家が小説家になったきっかけを調べてみた


小説家のなり方


小説家のなり方は2つあると思っていて、一つは、本当に生まれながら小説を書くことが決まっている人。小学生の時には小説を何本も書いていたり、親が作家だったり、あるいは創作をする事でしか精神を保てないようなハードな家庭環境で育った人。才能とか以前に、売れようが売れまいが、書かないと生きていけなかった人たち。

もう一つは、人生の中盤において唐突に「書くかぁ」と言ってデビューする人。見てみるとこういうタイプの人は機が熟したとかそういうわけでもなく、ある日急に神の啓示を受けたジャンヌ・ダルクみたいに"その時"がやってくるみたいだ。

今回は小説家が小説家になったきっかけを調べてみた。
wikipediaを頼りにしているけれど、その中からキャッチーなものをいくつか選んでみた。


10歳の頃から書くことで自分が解放されて、生きる執着に繋がったから


村田沙耶香。「コンビニ人間」を読んだことのない人は平凡なアルバイトの話なのかな?と思うのだけれど(僕もそう思っていた)実際読んでみると怪作だ。他の作品でもそうだけれど、狂った世界か、あるいは狂った人間が出てきて、そのサイコさとか異質さを気持ち悪いと思いながら読み進めると、いつしか正常と異常が逆転しており、もしかして異常なのは自分たちの価値観の方なのではないかー?という疑念をいつも突きつけられる。

「コンビニ人間」や「生命式」を読んでから村田沙耶香のwikipediaを読むと感動と納得がすごい。抑圧された家庭環境から必然的にこの作家は生まれたのだと(失礼)腑に落ちてしまう。言ってしまえば、村田沙耶香のwikipediaがすでに村田沙耶香の作品のようなのだ。


ビールを飲みながら野球観戦している最中に「そうだ、小説を書いてみよう」と思ったから


村上春樹。学生時代に結婚。昼も夜もアルバイトをしてお金を貯めて、両方の親と銀行から借金をして喫茶店を開業。ジャズ喫茶店のマスターとして生きていた。ある日神宮球場でビールを飲みながら、ヤクルトとカープの試合を観戦している最中に「そうだ、小説を書いてみよう」と思ったのだそうだ。それから喫茶店で働きながらキッチンで書き綴って生まれたのが処女作「風の歌を聴け」だ。


鉄道模型を買うためのお小遣いが欲しかったから


森博嗣。工学博士として大学に勤務中、趣味の鉄道模型をやりたいためにその資金をアルバイトで貯めるために小説を執筆。何度か投稿してるうちに当たるかもしれないと思って応募したら1回目で編集の目にとまる。その時点で4作を書き終えており、「すべてがFになる」でデビュー。


3人目の子供を妊娠して唐突に書きたくなったから


宮下奈都。普通に結婚して、普通に子育てをして、長男がうまれ、次男が生まれ、どうやら今お腹にいる3人目の子供も男のようだ、と分かった時に「今自分のために何かしておかないと、このまま何もできないんじゃないか」という焦りから家事を終えた夜中に少しずつキッチンで小説を書き始める。その時に書いた小説「静かな雨」が文學界の佳作へ。


5歳の時に絵が上手い姉を見て「じゃあ私は文章だ」と思ったから


吉本ばなな。父親が日本を代表する評論家・吉本隆明なので、作家になるのは当然のこと、と思っていたのだけれど長女のハルノ宵子は漫画家である。5歳のときに(!)絵の上手い姉を見て「じゃあ私は文章だ」と思い小学4年生の時に処女作「赤い橋」を執筆。23歳に「キッチン」でデビュー。



他にも「こんなデビューをした小説家がいるよ!」というエピソードをお持ちの方はぜひコメント欄で教えてください。個人的には宮下奈都さんや村上春樹さんのように全く違う人生を歩んでいたのにある日唐突に天啓を受けるようにして小説を書き始めるというエピソードが大好き。(宮下奈都は上智大学文学部、村上春樹は早稲田大学文学部という確かな土壌があったのでした〜というオチはあるのだけれど!)



おしまい



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