君を遡る【短編小説】

僕は、君の近くを歩いている。

幸せな気分だ。

だけど、君はどこか暗い顔をしている。何か、僕の方を気にしている様な仕草だ。

彼女に何かあったのだろうか。

思い出してみる。


まず先ほどの行動、彼女は交番に立ち寄っていた。おそらく、落とし物を尋ねたのだろう。

しばらく交番に入っていて、僕は外で待ち続けるのが辛かったので、近くの書店で時間を潰していた。

その後、彼女は明るい表情で交番から出てきたので、落とし物は見つかった、ということだろう。

交番から出てきてしばらくしてから暗い表情になったので、この交番関係の出来事は彼女の悩みではないと思われる。


その前の行動。彼女は人気ファストフード店で「照り焼きチーズハンバーガー」を注文していた。

彼女の好きな物は「照り焼き」そして「チーズ」だということを誰かから聞いた。

つまりこれも彼女の悩みとは無関係だろう。


何か彼女にあったのか。昨日...は特に何もないはず。一昨日...はそうだ、重大な出来事があった。



僕は彼女に告白をした。だが、振られてしまったのだ。



本当に悲しかった。でも、諦めきれなかった。彼女は僕を何とも思っていないだろう。でも、僕は君に、本気で恋をしてしまったんだ。

だから僕は彼女を追いかけ続けることにした。彼女に僕を認めてもらうために。

彼女は後ろの方に隠れている僕の方を見る。大丈夫。僕の存在には気づいていないはずだ。

彼女は走り出す。僕は焦って追いかけるが、見失ってしまう。

大丈夫。こんな時の為に彼女にGPSを付けておいた。

彼女は先ほどの交番に居るようだ。追いかけよう。





絶対に、諦めない。

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