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10.「いい病院」とは? 医師のスキル? 設備? 待ち時間? それとも……

■店を休むわけにはいかないので
 「あれ? 明日は開店時間が遅いの?」
 各テーブルには、いつものメニューとともに、明日の開店時間が遅れる「お知らせ」が置かれていた。 ここは、仕事の合間に立ち寄り、自分の時間を少し作ったり、医療オタクのマスターのぶさんの話に耳を傾けたりしているカフェ。
 「明日は、私の通院日なんですよ」
 マスターは、がんを患っていると聞いている。その定期検査のための通院日らしい。

 通院日なら仕方ないな。いやむしろ、がんの検査を受けるのに、開店時間を少し遅らせるくらいで店に出てこられるとは驚いた。がんで通院しているような大病院であれば、診察が終わるまで全部で半日ぐらいはかかりそうなものだが……。

 「私が行く病院は、だいたい予約時間に診察してくれるし、そんなに待たないんですよ。店を休んでしまうわけにいかないので、そういう病院を選んでいるんです」
 「いい病院ですねぇ。どこですか? ちょうど病院を替えようと言っている私の親にも薦めたいので、教えてもらえれば……」
 「いやいや。私にとっての『いい病院』と、お母様にとっての『いい病院』は違います」

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読売新聞ヨミドクターでは読みやすさが定評。その連載内容を含め、今日からできるアイデアが満載。もしかしたら、あなたの人生が、生き方が変わるかもしれません。

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