今のぼくは嘘をついていないかい?
「どんな時も自分に嘘をつくのは良くない。自分の嘘で自分の首をしめることになる」
久しぶりに二年前の日記を引っ張り出して読んでみました。
当時、ぼくは大学四年生。いわゆる就活をしていたころのこと。
あの時はいわゆる売り手市場で、とても景気が良かったと記憶しています。
今では信じられないですが、何回も就活イベントに参加しては、様々な場所を歩き回りました。本当に恵まれた環境でした。
周囲よりも就職活動を始めるのが遅かったぼくは、友人が次々と内定をもらう中、1つも内定をもらえず焦っていました。
初めて、自分の市場価値を意識せざるを得なくなり、途方にくれていたのです。
自分を企業に売り込むという行為に、白々しさを感じていながらも、自分をアピールするためには、ハッタリも必要だと随分嘘をつきました。
もちろん嘘がすべて悪いというわけではありません。けれど、場合によっては裏目に出ることもあるでしょう。
ぼくは就活のためについたハッタリとしての嘘を、いつの間にか自分の本当の気持ちだと錯覚していたのではないかと思うことがあります。
内定が早くほしかったぼくは、ある意味どんどん自分を排除して、就活をするための内面を作っていきました。
親が安心するだろうから、安定した職にしよう。
それでいて、地元で評判が良いのは信用金庫だな。
信用金庫が求める人材って何だろう。きっと協調性があって、人と関わるのが好きで、まじめで、地元を元気にしたいというような気持ちをもっているのだろうな。
あれ? これこそぼくじゃないか?
地元は好きだし、協調性も無くはない。
きっとこれこそぼくの目指すべき道だよ。誰かにそう囁かれた気がしました。
自分の思い描くサラリーマンとしての自分が、頭の中でどんどん膨らんでいきます。
ありがたいことに、その信用金庫から内定をいただけました。両親はとても喜びました。
内定がもらえたってことは、やはりぼくは信用金庫が向いていたのだな。
ぼくはとても単純でした。
「どんな時も自分に嘘をつくのは良くない。自分の嘘で自分の首をしめることになる」
内定を両親に報告した日の日記の一文です。けれど、信じていた自分はどれほど自分の気持ちに素直だったのだろう。当時は、やっと何かを見つけたというような気持で、この日記を書いていたのだろうけれど、それこそ自分の嘘でした。
自分の価値観が定まらない中では、入ってくるものすべてが素晴らしいものに見えました。
あらゆる判断を、人からどう評価されるかでしていました。
今のぼくは果たしてどうだろう。
自分に嘘、ついていませんか?
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