見出し画像

RX 2章4話 難題 ♪トランジスタ・ラジオ


元不登校の僕が実際に、
学校になじめず居場所が無かった当時の、
リアルな胸中をとても色濃く描きました。

作品の中でも特に思い入れが強い回なので、
ぜひ最後まで読んで頂けたらなと思います


あらすじ

悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩


前回はこちら ↓



RX 〜悩める若者への処方箋〜
🟣第2章 スターダスト 4話 難題




友情も恋愛も無縁の、暗い青春。

 うつ々、悶々とした陰湿な空間。


陽が当たらない教室の隅っこで、

離された机に伏せ、

 尽きない難問に頭をうずめる。


嫌われ者から透明人間へ。

 僕を責める風潮は静まったが、

憎しみを通りこし、

 存在は空気のように無視されていた。


当然、クラスに居場所なんて無い。

明るいグループ、静かなグループ、

 どこにも入れてもらえない余り物。


誰からも認められず、誰とも共感できず、

ひたすら疎外の刑。

全員、冷酷な顔で、

 目も合わせずに僕をスルーしていく。


もう授業や話題についていけない。

見たことない文字、聞いたことない言葉。

何を話しているのかさっぱり わからない。


みんなが外国人や宇宙人みたいだ。

いや、それは僕なのか。

一人だけ変で、何かが違って浮いている。


集団VS個人。

 これが僕のメガネから見える世界観。

孤立無援。肩身が狭く、高まる不快感。



昼休み。居心地の悪さに耐えがたくなり、

教室を抜け出して校舎の裏側に座りこむ。


弁当を置き忘れて来たが、

 教室には気まずくて戻れない。

空腹にうんざりして、

 ポケットから携帯ラジオを取り出す。


流れてきたのは海外のロックバンドの名曲。

過激な爆音と、反骨の叫びが魂を揺さぶる。


日陰が似合う僕には、音楽だけが頼り。

昔から内向的な性格で、

 輪に入れず、ひとりぼっちだった人生。


長い長い、中学校の通学路。

手をつなぐ男女や、楽しげな群れを、

 嫉妬しながら早歩きで追いこした。


一匹オオカミとは真逆の、負け犬。

友達をつくれと言われ続けてきたが、

 仲良くなれる方法は誰も教えてくれず。


"気にするな、お前らしくいろよ"

中指を立てたロックスターが、

多感な心情を歌い、十代の苦悩を代弁する。


欲求不満の閉塞感を吹き飛ばし、

 自由へ開放してくれる救世主。


落ちこぼれでもいいじゃないか。

いつかきっと、

わかってもらえるさ・・・




「君、音楽が好きなんだね」

次の日。僕に声をかけたのは、

 頭がいいと評判の、背が高い男子。


驚いたが内心は大喜び。趣味が合うかも。

 念願だった初めての友人ができる予感。


だが彼は、先生に言ったからと告げた。

すると校内放送が流れ、

 職員室へ呼び出された僕の名前。


持ちこみ禁止のラジオを聞いていた僕を、

校則違反だと言いつけたのだ。


優等生なんて、そんなものか。

幻滅。期待は裏切られ、失望だけが残る。


没収されたくない一心で、

 自転車に股がり全速力で逃亡。

むしゃくしゃする道中。血迷ったあげく、


ラジオを橋の上から投げ捨ててしまう。

大切な宝物は、

 あっけなく川の濁流へ飲まれていった。


(つづく)


♪イメージソング

RCサクセション「トランジスタ・ラジオ」
小学生の頃から大好きな歌❣️
ラジオ、ではなくウォークマンで毎日聴いていた
思い出の(ホットな)ナンバーです


本文で"わかってもらえるさ"と大きく書きましたが、これはRCサクセションが全然売れなかった時代に出した曲の名前です。

今は誰にも理解されなくても、いつかわかってもらえる日が来るさ・・・
孤立して疎外感ばかりの学生時代、そう信じて常に自分に言い聞かせてました。



🟣次回は 2章 5話 脱獄
7/9(日)に投稿予定です☂️


↑趣味のお話や自作イラストの紹介など、
 日々 色んなことをツイートしてます!🐦


いよいよ次週で、2章ラスト‼️
主人公の苦悩が大爆発する、
激しい展開にご注目ください。

今週もご通読ありがとうございました😊

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?