RX 1章3話 幻影 ♪don't you know
連載スタートした自作小説「RX」💀
これは僕が人生で初めて書いた作品であり、
僕の実体験を活かした自伝的小説です‼️
あらすじ
悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
少年時代 学校生活 精神病院 そして闇は光へ
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
前回はこちら ↓
RX 〜悩める若者への処方箋〜
🔴第1章 ドラゴマニア 3話 幻影
①
あの夜から、僕の景色は明るくなった。
外を眺めていた ひと時、
今は空想を楽しんでいる。
レスラーが巨大な怪獣を倒す物語。
想像が止まらず、絵を描き続ける。
退屈だった日常に、色がぬられていく。
プロレスが夢を描かせてくれた。
頭の中に広がる、僕だけの世界。
テレビの前に座りこみ、試合にクギづけ。
真剣な まな差しで激闘を見つめ、
選手や技の名前に詳しくなっていく。
そしてプロレスごっこに明け暮れた。
布団の上。枕が対戦相手。
僕はレスラーになりきって、
覚えたての動きをまねする。
ほこりが舞い、疲れ果てて せきこむ。
あきれた母に怒られたが、いいんだ。
味わったことない充実感があった。
②
一日中、レスラーに変身した姿を思い描く。
プロレスラーになりたい・・・
憧れが夢に変わるのは必然だった。
だが、その気持ちは秘密にしていた。
僕は病弱だった上に、
クラスで誰よりも体が小さかったからだ。
激しい発作により、
食べた物を吐き出すことも多かった。
満足に栄養をとれず、やせ細っていた体。
レスラーの絵を描く、ひよわな僕。
その姿が面白く見えたのかもしれない。
「こいつ何やってんだよ」
黒い影が忍び寄り、再び追いつめる。
体を掴まれ、地面に引きずられた。
すりむいた傷から土の混じった赤が流れ、
お気に入りのTシャツは破れてしまった。
僕は弱すぎてレスラーには、なれない。
痛感した泣き顔に、泥の しずくが伝った。
③
将来の夢を書く時間。
一斉に筆を走らせる周囲を横目に、
手が動かず、体が固まる。
レスラーになれるわけがないと、
またバカにされるのが怖かった。
夢とマボロシの中間で悩み、焦りだす。
人生初の葛藤。
結局、机の上は真っ白なままだった。
クラス全員の紙が張り出される。
野球選手、宇宙飛行士、学校の先生。
みんなの夢がきらめく星空。
そこに僕の星は無かった。
複雑な思いで下校し、悔しさを忘れようと、
ダンボールでチャンピオンベルトを作った。
最強のレスラーだけが腰に巻ける、
黄金に光り輝いたチャンピオンベルト。
ベルトの形に切り抜き、絵の具をぬった。
英語のつづりが わからず、
カタカナで"チャンピオン"とペンで書く。
後ろをテープでとめ、
細い腰にダンボールのベルトを装着。
鏡の前に立ち、腕を曲げて力こぶをつくる。
魔法にかけられたように、
その時だけ僕は、強くなれた気がした。
勇気が湧き上がり、心が叫ぶ。
どうしてもレスラーになりたいんだ。
(つづく)
♪イメージソング
言いたくても言えない、したくてもできない
そんな歯がゆさや口惜しさが、何か大きなものを生み出す原動力となるはずです。
葛藤こそが人間らしさだと僕は思います。
🔴次回は 1章 4話 初歩 です❤️🔥
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また次回も、お待ちしています😊
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