RX 5章3話 強心 ♪Hall of Fame
プロレスを知らない方にも、プロレスの魅力を知って頂きたいという情熱を持って書いたので、
ぜひ最後までご覧ください❣️
あらすじ
悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
4章 退院後、うよ曲折を経て希望を見つける
5章 再びレスラーの夢へ、デビューを目指す
前回はこちら ↓
RX 〜悩める若者への処方箋〜
🟢第5章 ソーアライブ 3話 強心
①
日曜日の大会が終わり、リングを撤去する。
木の板や鉄骨など、
重い資材を肩に担ぎ、トラックへ運びこむ。
なおかつ練習生の僕は、雑用の仕事に追われ
忙しく会場の内外を走り回っていた。
通行人の会話が聞こえる。
「おお、プロレスの大会だって」
もう一人が僕を指さした。
「あそこの人、レスラーかな?」
「なわけないだろ。あんな弱そうなチビ」
レスラーは強くて大きい。
そのイメージから かけ離れている僕は、
悔しさと怒りに満ち、口びるを噛んだ。
くそう。今の言葉、忘れねえぞ。
必ずビッグな男になってみせる。一方で、
レスラーといえば怖い人。
そんな先入観もあったが、リングを降りると
とても優しく接してくれ、
この日も食事をご馳走になった。
「いっぱい食って、でかくなれよ」
テーブルに次々と置かれる大盛りの料理。
せっせと食べる僕を見て、
上機嫌な師匠は語りだす。
「俺も昔は、お前くらい体が小さかった」
②
僕と同じ。元から大きかったわけじゃない。
背を伸ばそうと、
牛乳をガブ飲み、魚を骨まで食べ尽くす。
いじめてきた奴らをやり返したい、と息巻き
自分の弱さを克服するために門を叩いた。
しかし・・・
真の強さは、全くの別物だったと言う。
「ほかの格闘技は、
相手の技を避けたり、防いだりするけど、
プロレスだけは違う。あえて受けるんだ。
受け止めて、耐えきって、強さを証明する。
どうだ、お前のパワーはその程度かって」
僕が励んできた柔道は、やられたら終わり。
だがプロレスは、やられてから始まるのだ。
勝敗よりも大切なのは、戦う姿勢そのもの。
痛みを表し、闘志を伝え、
見ている人に活力を与える。
強さとは何か、戦いとは何だ。
プロレスの奥深さ、
核心となる極意を教わった。
「でも、本当にピンチの時は逃げるんだぞ。
自分の命は絶対に守らないとな」
助言した師匠は、豪快に肉をほお張った。
③
ちなみにプロレスの練習で最も痛かった技は
強烈なチョップだ。
手の平が、思いっきり僕の胸元に叩きこまれ
バチン!と破裂音が響く。
激痛のあまり かがみ込むと、
すぐさま怒鳴り声が飛んだ。
「下向くな、顔上げろ!」
歯を食いしばって受け続け、耐え続けたあと
胸全体は真っ赤に腫れあがっていた。
くっきり手形が残り、
シャワーを浴びれば、ズキズキ染みるほどに。
師匠は僕の辛抱強さをほめてくれた。
「そうだ、一番大事なのは気持ちだ」
強い、弱いとか、うまい、ヘタは関係ない。
本気で行け、根性を出せ、度胸を見せろ。
全力で必死な戦いぶりは、みんなに伝わる。
師匠の大きく広い背中は、そう語っていた。
(つづく)
♪イメージソング
プロレスの醍醐味とも言われる、受けの美学。
それは対戦相手との信頼関係がないと成り立ちません。相手がどんな人でも真正面から受け入れる。互いを認め合い、許し合う。
そういった武道の精神や、リスペクトの心が非常に大切なのだと思います✨
私たちの社会生活や人生にも、きっと同じことが言えるのではないでしょうか。
僕なりのプロレス愛や敬意を込めた今作💪
実際、10代の頃に練習させて頂いた際は大変お世話になりました。真摯にわかりやすく教えてくださり、もちろん厳しさもありましたが、そこには必ず優しさが感じられました。
貴重な経験を積ませていただき、深く感謝しております。有り難うございました。
P.S.
本当にチョップはとてつもなく痛かった…!
あれはまさしく、ぶっ太(と)いムチです😱
🟢次回は 5章 4話 新芽
10/15(日)に投稿予定です🍀
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RXも残すところあと2話…!
どんどん伏線を回収しているので、読み応えがたっぷりあるかもしれません!😄
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