RX 【第3章 ロックボトム】 1話 決壊 ♪Faint
17才の主人公の苦悩を描いた自作小説、
「RX」今週から第3章に入っていきます。
⚠️3章から、死に関する少し過激な表現が含まれているのでご注意ください🙇♂️
あらすじ
悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
少年時代 学校生活 精神病院 そして闇は光へ
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
前回はこちら ↓
RX 〜悩める若者への処方箋〜
🟡第3章 ロックボトム 1話 決壊
①
閉めきったカーテンがオレンジ色に染まる。
目が刺激され、
今が朝か夕方かも わからない。
部屋に引きこもる、不登校の僕。
高校には二度と行けなくなった。
乱れた自意識、消えた自尊心。
とてつもない自己否定のストレスが、
パニックと自傷行為を引き起こした。
自我が壊れ、憂うつに支配され、
体はナマリみたいに重たく動かない。
ぐるぐる駆け回る、悲観的な思考。
悪循環に落ち入り、
高熱でうなされるような頭痛に もだえる。
勉強机を見ただけで、胃が締めつけられ、
猛烈に吐き気がした。
今でも僕への悪口が耳に残り、
拒絶された顔が頭から離れない。
空耳か、被害妄想か。
みんなが僕を嫌がっている声がする。
消えろ、いなくなれ、どっか行け。
②
長すぎる一日、全く眠れない夜。
でも朝は来るな、このまま永遠に明けるな。
しかし母がドアを叩いて知らせた。
「早く用意しなさい」
容赦なく登校を催促してくる。
学校に行かないといけないのは、
わかっている。でも怖くて行けないんだ。
甘え、さぼり、なまけ者、我慢が足りない。
そんな言葉で片づけるな。
口では説明できないが、
大人が思うより複雑かつ切実で悩ましい。
強引に部屋へ入ってきた母を、
寝起きの僕は力なく押し返す。
また布団に埋もれ、深くまで沈みこんだ。
わがままな本音。
周りと一緒にしてほしくないが、
仲間ハズレにもしてほしくない。
僕に背を向けないで、無視しないで、
悲痛なメッセージに耳を傾けてくれ。
長らく休んでおり、のしかかる罪悪感の重圧。
この部屋から早く出ないと。
時限爆弾に、導火線の炎が迫り来る。
③
誰か、助けて。
暗がりを抜け、ふらつく足でリビングへ。
テーブルにうなだれる母。
白髪が増え、やせこけた後ろ姿。
肩を震わせ、鼻をすする音がした。
手もとに並ぶ"退学通告書"。
暴力事件、学業不振、欠席や態度など数多くの
問題を抱えた僕が単位を取れるはずがなく、
とうとうドロップアウト(中退)が決まった。
「どうすればよかったの」
かすれた声で聞かれたが、僕もわからない。
黙りこむと母は激高し、
ありったけの怒りで僕を責めだした。
不登校なんて恥ずかしい、世間体が悪い。
うるせえ、だまれ、
もう限界だ・・・
あふれた感情のグラスが爆裂した。
ついに僕は発狂して暴れ回る。
物を投げつけ、家具を破壊。
声にならない叫びで、
何もかも、めちゃくちゃに荒らした。
夕飯がそこら中に散らばり、
辺りは地獄絵図。
残骸だらけの床が悲惨さを物語る。
家庭崩壊。泣き崩れる母をよそに、
たまらず僕は、家から逃げ出した。
(つづく)
♪イメージソング
"なんで学校に行けないの?何が原因なの?"
よく親や先生に聞かれる言葉ですが、
このとき大抵、何を答えても、
"みんなそうだよ。みんな我慢してるよ"
とバッサリ言い切られてしまいます。
でも、感じ方、捉え方は人によって千差万別。
側から見れば大したことなさそうな事でも、
本人にとっては深すぎる問題なのです・・・
🟡次回は 3章 2話 消失
7/23(日)に投稿予定です⚠️
↑ 自作のイラストを投稿したりしてます🐦
今週も、ご通読ありがとうございました😊
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