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RX 3章3話 谷底 ♪LBL


全25話あるので、今回がちょうど中間地点
物語的にも、一番深い谷の部分になります。


あらすじ

悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ


前回はこちら ↓



RX 〜悩める若者への処方箋〜
🟡第3章 ロックボトム 3話 谷底




ぼんやり目が開くと、白一色の天井。

 覚えがなく、ここがどこか わからない。


「調子はどうですか」

 白衣の男が視界に現れ、語りかける。

現在までの状況を淡々と説明し始めた。


心を病み、自殺未遂をした僕は、

 遠く離れた精神病院に入れられていた。


生と死の境界線をさまよった恐怖体験。

凄まじいショックで、

 飛んだ記憶の断片が、頭に直撃。


突発的な自殺願望、向かってくる電車。

フラッシュバック。

 衝撃が再生され、反射的に取り乱す。


しかし体が動かない。僕を暴れなくするため

すでに麻酔の注射を打たれていた。


感覚がマヒして何も感じない。

 精根は干からび、やがて放心状態へ。


無気力、無欲、無感情。

生きるでも死ぬでもなく、

 どうすることもできない虚無。


宙に浮かんだような不思議な視点で、

幽体離脱みたいに、

 横たわる我が身を静かに見下ろす。


重大なナゾが、解明されようとしていた。



医者から診断結果を知らされた。

 僕は精神的な病気を抱えていると。


それも長年に渡って症状が蓄積され、

 心身は、とっくに限界を超えていた。


原因はコミュニケーションなど、

 対人関係を築く能力の問題らしい。

心当たりはあった。点がつながり線へ。


僕の最大の苦悩は、孤独だ。

人と関わる時、常に見えない壁を感じた。


僕と周りの間に大きく立ちはだかる障壁。

それが阻害となり、

 いつも困難にぶち当たっていた。


みんなが当たり前にできることが、

僕だけできず、

 笑われ、怒られ、最終的には嫌われる。

どうして。理由が わからず、自身を責めた。


さらに常識や規則を押しつけられ、

無理がたたり、たった一人で壊れていった。


生きづらさ、ストレス、そして孤独感。

その正体は"精神病"。


しかも完治できず、

 今後も付きまとう病気だと言われた。

死ぬまで永久に、苦しまないといけない。


絶望した果てに、奈落へ叩きつけられた。



どん底。このベッドは、人生の底辺だ。


母から届いた手紙。無事を心配する長文。

僕の本心は、

死ねなくてごめんなさい・・・


迷惑かけてごめん、生まれてきてごめん。


漆黒の谷。光は遮断され、何も見えず。


暗く、冷たく、深く、

 自分ひとり、閉じこめられる。


いつの間にか、壁は四方を囲んでいた。


怒りや悲しみを伝えても、

 誰にも通じず、返事もなく、

反響して自分に跳ね返ってくるだろう。


このままずっと独りなのか。

 いつになったら出れるんだ。


先ほど飲まされた睡眠薬で、

意識が薄れていき、世界から目をつむる。


今まで本当に辛かったよな。

 でもそれは一生、続くんだ。


ボロボロの心が、奥底で泣き叫んでいた。


(つづく)


♪イメージソング

Cospe「LBL」
僕が尊敬してやまない、元レスラーで今は映画俳優のザ・ロックことドウェイン・ジョンソン。
彼は若い頃 うつ状態に悩まされており、その当時を振り返る動画にこの曲が使われてました。


3章の題名"ロックボトム"は
どん底という意味であり、
彼のレスラー時代の必殺技でした。

今や世界で最も稼ぐ俳優と言われてますが、
若い頃は所持金たった数百円の、まさに
どん底生活を強いられていたそうです・・・



🟡次回は 3章 4話 共闘
8/6(日)に投稿予定です⚠️


↑ インスタもやってますのでぜひ📷


ご通読ありがとうございました😊
後半戦もよろしくお願いします‼️

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