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認知バイアス大全

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賢い人も含めて、わたしたち人間が「頭の悪い行動をしてしまう」理由は、だいたい認知バイアスによるものです。認知バイアスとは、進化の過程で得た機能の「バグ」。この認知バイアスの良いと… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

内観を信じるな 「内観幻想」

内観幻想内観幻想(introspection illusion)とは、 自分の精神状態の「起源」を理解していると思い込み、他人の内観を信頼できないものとして扱う傾向 です。この錯覚は、心理学的な実験で検証され、人が、自分と他人を比較するときのバイアスの根拠として示唆されています。これらの実験によって、人は他人の行動から勝手にその人の精神状態を不正確に推測するように、自分自身についてもまた誤って解釈することがあることが示唆されました。 これらの実験は、人々が他人の行動から

できないという思い込みの作り方と抜け出し方 「学習性無力感」

学習性無力感学習性無力感(Learned helplessness)とは 長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象 です。なぜ罰されるのか分からない刺激を与えられる環境によって、「何をやっても無駄だ」という認知が形成されると、「学習された」無力感が生じます。1967年にアメリカの心理学者、マーティン・セリグマン(Martin E. P. Seligman)らのオペラント条件づけによる動物実験での観

後悔は人生に役にたつ。 認知バイアス 「反事実的思考」

銅メダリストは、銀メダリストより幸せな理由オリンピックメダリストの場合、銅メダリストのほうが、銀メダリストよりも結果に満足していることが多いようです(※1)。銀メダリストは、「もし、ああしていれば」という、過去についての「選ばなかった選択」について考えるとき、その「選ばなかった選択」の結果が、金メダル獲得という「今より上の事実」を想起します。一方で、銅メダリストは、同じように「もし、ああしていれば」という過去の「選ばなかった選択」について、考えるとき、その想起する「選ばなかっ

間違えることを前提とした対策 「エラーマネジメント理論(EMT)」

エラーマネジメント理論エラーマネジメント理論(EMT: error-management theory)とは、 知覚および認知バイアスによって犯してしまうエラーを回避する理論 です。エラーマネジメント理論(EMT)は、David BussとMartie Haseltonによって作られた知覚と認知のバイアスに関する広範な理論である。人間が、ヒューリスティックやバイアスを使ってどのように考え、判断するかは、人間の脳に組み込まれている可能性があります。この理論を用いた関連分野と