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AmazonのCVCを通じた省人化/安全性への取組

Amazonが2022年に設立したCVCですが、発足/稼働開始から2年経って投資対象の[地理][ドメイン]を柔軟に拡大する方針のようです。
今後は長期的に見て省人化/安全性強化に資する分野への投資を進めていくとのことで、更に事業化/商業化を前提としないとのこと。
膨大なデータセットを基にした投資先との協業、今後相当なインパクトを持ってきそうです。

https://www.wsj.com/articles/after-a-year-amazons-1-billion-logistics-venture-fund-is-off-to-a-slow-start-4220a54f

1;Amazonによる戦略投資

 Amazonは22/04にAmazon Industrial Innovation Fund(AIIF)を設立して10億ドルの元手で米/イスラエルの新興10社程度に投資を実施。
 Amazon経済圏の中で利活用可能なテクノロジーを持つ新興企業の発掘を行うが、必ずにも商業化/事業化を狙わないとする。あくまで協業に向けたツールと位置付けており、場合によっては他のファンドや本体投資も検討する
 AIIFの代表的な投資先としては[Veo Robotics(ロボソリューション)][Flymingo(動画解析AI)][CoreTigo(無線通信)]など

1-1;ファンドの概要

(目的)
 ECにおける物流業務高度化/効率化に加え、顧客/従業員双方の体験価値を向上させるCapabilityを持つ企業への投資。具体的には、本体で行うAI/ロボに絡めて、[反復作業効率化][自動化車両]を担う企業へ投資することで実装の迅速化を図る
(対象)
 地理的にはこれまで[米国/イスラエル]が主だったが、今後は[アジア/欧州]での投資も加速させる方針
 フェーズは[Seed~SeriesB]がメインの投資対象だが、今後はLater-Stageへの投資も実行する
 今後注力する対象は[AI][二足歩行/人型ロボ][自動運転車(ラストマイル)]の3ドメイン

1-2;投資対象

(AI)
 AmazonでのAI活用は目新しいモノでないが、生成AIをロボット工学/自動化に適用する方針で投資を進める。
 生成AIを活用したロボティクス/自動運送などの倉庫/物流基地内でのすべての要素を結合/融合/機能向上や、訓練モデル/データセットと生成AIを組み合わせたロボ/モビリティでの認識/操作/制御の実用化/高度化

 AIIFの投資責任者は下記のように述べてWin-win関係の構築が可能とする
 -[生成AI系スタートアップの最大の課題は大規模なデータセットへのアクセスだが、Amazonは世界最大級のデータセットを持つ] 
(ロボティクス)
 Amazonは配送の効率化/確実化を目指し、達成への必要不可欠な要素がロボティクスであると認識する。ロボティクスサイトでの記録実績では[事故率:15%低下][災害休業率:18%低下]といった実績が既に出ている
 直近では22/04に投資実行したAgility Roboticsとの連携を強化して、二足歩行ロボの実装を進めており、23/10にはシアトル郊外のBFI(研究開発)拠点でAgilityのロボシステムDigitの実証試験を開始
 AIIFの投資担当者のコメントは下記で、二足歩行ロボにより安全性の向上を目指すと強調
 -[モバイル操作には大きな可能性があり、二足歩行ロボットと人間が協業して安全性を高めることに大きな関心を持っている]
(自動運転/ラストマイル)
 輸送品を迅速/確実に顧客にとどめるためのラストミドルマイルのソリューションにも期待。自動運転車/運転技術だけでなく、サプライチェーンのあらゆる工程での課題解決を目指す[自動化]も投資したいとする

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