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オオカミの魅力がありあまる

何のバンドが好きなの?と聞かれると私はいつも「オオカミの被り物をしたバンドが好き」と答える。私の周りの人は私の好きなバンドの名前を知らないからだ。

いわゆるバンド、邦ロックと呼ばれるジャンルの音楽は、意図して聞かなければ、日常的に取り込まれることが少ない音楽のジャンルだと思う。

お茶の間に知られるには、大ヒットした映画「君の名は。」で主題歌と挿入歌を担当したRADWIMPSみたいに、多くの人の目に留まるような、大注目を浴びる必要がある。ロックミュージックが好きな人の世界では有名でも、「お茶の間」で有名になるのは売れる要素を兼ね備えた曲と、運が必要な気がする。

なぜなら、世の中にはあふれるほどバンドがあるし、バンドにとどまらず、音楽を提供するアーティストはあまりにも多い。しかも、バンドは特別有名(髭男とかね)でない限りジャニーズや有名なアイドルグループのように曲を出すたびに注目されるわけでもない。

だから、個性が強調されなければ、「あの曲歌っている人たちってなんていう名前だっけ?」のように名前まで覚えてもらうのはなかなか難しい現状がある。


その点、私の好きなバンドは、頭はオオカミ身体は人間、となかなか個性的だ。(彼らは地球の最果て、エレクトリックレディーランドで造られた究極の生命体。長年氷漬けにされていたが、地球温暖化の影響を受けて眠りから覚めて日本にやってきたのだ!だから決してオオカミをかぶっているわけではないんだけれど。)

だから、MAN WITH A MISSION(以下MWAM)という名前を知らなくても「オオカミ被ってるバンド」と言えばほとんど通じる。

5人(匹)バンドなのだが、メンバーの名前もトーキョータナカとかカミカゼボーイとかまじめに思えないし、やたらと設定に忠実で、究極の生命体だから中身なんてないと頑なに主張し続けるし、1人しか人間の言葉をつかえない。

さらに、WEBや紙媒体に載るインタビューでは全部カタカナで書かれている。(最近は、「編集部で翻訳しました」という但し書きが出て普通の文体になっていることが多いが。)そのせいで読みにくく、読んでいても途中で訳が分からなくなってくる。ファンであるはずの私でさえも何度か読むのを断念したこともある。ナンテイチイチメンドクサイバンドナンダ。


MWAMを好きになったきっかけはごく平凡だった。当時私は他のバンドが好きで、その人たちの作った曲しか聴かない偏った聴き方をしていた。好きになってしばらくたった時に、ある事件のようなものが起こって、大手を振ってこのバンドが好きなんだ!と言えなくなった。

まあ、好きなものは貫き通せばよかった話なのだが、世間的にはばかられた。(あえてバンド名は書かないけど詳しい人はすぐわかると思います。タイトルとかで。)

だから、これをきっかけに他のバンドも聞いてみようと思い立ち、CDレンタルショップに行った。好きな音楽が分からなかったので貸出ランキングとして飾られていたCDアルバムをかたっぱしから借りた。(まだサブスクは主流じゃなかった…)

その中で2位だったのがMWAMの4thアルバム「The World’s On Fire」である。もちろん、その当時の私は「オオカミバンド」程度の認識しかなかった。


一曲目を聴いて衝撃を受けた。


かっこいい、以外の言葉が出てこなかった。貪るように曲を聴いていった。疾走感のあるビート、けれど重くずっしりとしたサウンド。DJのスクラッチは私にとって新鮮だった。

リードボーカルであるジャンケンジョニーとメインボーカルであるトーキョータナカ、2人の歌い分けがこれまたいい。リードボーカルが曲を盛り上げていき、満を持してサビで歌うメインボーカルのこの構成は、聞き手に大きなインパクトを与えている。


まるで満塁ホームランのよう。(受け売り)


同時に、私はメインボーカルの包容力のある深い歌声に一瞬にして虜になった。今までに出会った中で一番好きなボーカリストだと感じた。それはいまだに変わらない。

MWAMをきっかけに世界は広がっていった。他のバンドの曲もたくさん聞くようになったし、邦ロックの話が出来る友達も増えた。つらいとき、上手くいかないときにはMWAMの曲に励まされた。MWAMと出会ったことで確実に人生が豊かなものへ変わっていった。

今では1人で遠征に行けちゃうほどMWAMが好きである。彼らは私に行動力というものを与えてくれた。親もびっくりするほどの行動力である。

だから、何かのファンであること、私の場合はMWAMなのだが、何かを好きでいることは実は豊かな人生を生きるために欠かせないことだと思う。

生きづらい世の中を渡っていくための必需品であるようにも思える。私にとっては一歩一歩、歩いていくときの指針であり伴走者であるのだ。

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