短歌 新作8首 『ドーパミンの雨』
住んでいる街。流れてゆく時間。出逢って別れてゆく人々。
ときどき現実から目を逸らしたくなる。
けれど、足元をよく見てみれば、思いがけず美しい瞬間に立ち会っているかもしれない。
そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
ドーパミンの雨 鈴掛真
旅立ちの一歩手前で立ち尽くし反対側の列車に乗った
“フワリエット”未来の僕と君が飼う猫にAIが付けた名前だ
花束を抱いて眠れば悪夢にも君の紡いだ光が聞こえる
古の詩人が誰も正しくは書き留められなかった色の海
ドーパミンの雨に濡れながら傘をまだ捨てないでいる僕を許して
地球から止まって見える星たちも終わりを探す旅をしている
古ぼけた地図は無いから旨そうなコーヒーが薫る店を目指そう
頑なな無神論者の目に映る完璧な比率で鎮座するプリン
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