短歌 新作12首 『どんな地獄でも』
万物は、捉え方によって善にも悪にもなる。
ある人には天国でも、ある人には地獄に見えているかもしれない。
たとえ万人が悪人だと罵ろうとも、あなたにとっての善人でいたい。
そんな気分を、12の短歌で書いてみました。
第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。
どんな地獄でも
いつだってその気になれば逃げられる檻とわかっている腕枕
首を絞められているとき薄霧の先に救いの荒野が見える
動かない時計の針を進めたくて抱いた背中を数えておこう
煉獄へ振り落とすように夜と朝の狭間で部屋を去って行く君
俺だけは味方でいるよポーチュラカで編んだ冠を被せてあげる
嵐でも東横線は動いてて天国へなど連れて行かない
船出したのは君なのに俺の海を渡りきってはくれないんだね
山頂の雪が春に解けるような速度で俺のことも忘れるの?
泣き顔を知らない腕の中で聞いたことない鳥の声がしている
戦場で帰れる場所を探している君の名前を歌にするため
君の手を離しはしない たとえこの道の終わりがどんな地獄でも
俺はまだ許されますか雪原のように積もったポプラの綿毛
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