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手話通訳者全国統一試験「障害福祉概論」2021過去問⑦解説〜障害福祉の歴史〜

2021年度手話通訳者全国統一試験の過去問について、参考文献をもとに独自に解説をまとめたものです。


問7.手話通訳者登録制度の概要

第二次世界大戦後の障害者福祉の歴史について述べています。下記の(1)〜(4)の中から正しいものを1つ選びなさい。下記の(1)〜(4)の中から正しいものを1つ選びなさい。

(1)1947(昭和22)年制定された児童福祉法は、18歳未満の障害のある児童を対象としており、障害児の福祉サービスは同法に基づき提供されている。
(2)1949(昭和24)年に制定された身体障害者福祉法では、障害の程度やQOL(生活の質)の状況等により、1級から7級までの等級が定められている。
(3)1960(昭和35)年に制定され、1998(平成10)年に法律名が改正された知的障害者福祉法には障害の定義はない。療育手帳制度があり、知的障害の程度について、国は重度「A」と重度以外「B」に分けている。
(4)1981(昭和56)年国連により推進された「障害者の権利に関する条約」は「完全参加と平等」をテーマとし、世界における障害者施策の推進を目指した。

2021年度手話通訳者全国統一試験 筆記試験 問7

問題解説

(3)が正しい。障害福祉の歴史や変遷について整理しておく必要がある。各法令の内容まで詳細な知識が求められる。個人的には本問は引っ掛け要素が多く、やや難問の部類だと思われる。

児童福祉法

児童福祉法は児童福祉に関する基本的な法律である。「すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ、育成されるよう努めなければならない」こと、及び「国及び地方公共団体は、児童保護者とともにその責任を負う」ことを明示し、その理念のもの、18歳未満の児童に対する福祉施策のため、児童福祉司、児童委員、児童相談所、福祉事務所、保健所、福祉の措置及び保障、事業及び施設、費用等について定めている。
児童福祉法は、障害のない児童も障害のある児童も対象にしている障害児に関するサービスは、すべて児童福祉法に位置づけられている。

障害福祉サービス 利用について 全国社会福祉協議会(平成27年4月版)
障害福祉サービス 利用について 全国社会福祉協議会(平成27年4月版)

身体障害者福祉法の定義と等級

1949(昭和24)年制定の身体障害者福祉法は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、必要に応じて保護し、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的としている。身体障害者自らの自立への努力と社会参加への機会の確保を理念とし、国及び地方公共団体に対しては、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助を必要な保護の総合的な実施を、国民に対しては身体障害者の社会参加への努力に対する協力を、それぞれの責務としている。

身体障害者の定義は、「身体障害者福祉法」第4条に「別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者」とされている。障害の種類としては、視覚障害、聴覚又は平衡機能障害、音声機能・言語機能又はそしゃく機能の障害、肢体不自由、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、象徴、肝臓機能の障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害がある。

障害の程度は、1級から7級まで、身体の機能障害やADL(日常生活動作)の状況等により等級が定められている。なお、7級に該当する障害1つだけでは身体障害者手帳は交付されない。7級に該当する障害が2つ以上ある場合に、6級と認定され、身体障害者手帳が交付される。

知的障害者福祉法

1960(昭和35)年に制定された「精神薄弱者福祉法」は、1998(平成10)年に法律名が「知的障害者福祉法」に改正された。知的障害者に対し、その更生を援助するとともに必要な保護を行い、知的障害者の福祉を図ることを目的としている。
知的障害者の福祉に関する国及び地方自治体のせきむについて定めるとともに、知的障害者に対する福祉の措置を定めている。

知的障害については法律上の定義はない。2000(平成12)年に厚生省(現 厚生労働省)によって実施された知的障害児(者)基礎調査において、「知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもの」とされている。

療育手帳制度があり、知的障害の程度については、国は重度「A」と重度以外「B」に分けているが、自治体によって等級の示し方について差異がある。

国際障害者年

1981(昭和56)年の国際障害者年は「完全参加と平等」をテーマとし、世界における障害者施策の推進をめざした。

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