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嵐が新会社を設立して目が覚めた話

4月10日の朝、嵐が新会社設立を発表した。

その日もいつも通り、「起きなきゃ……」と重い体を起こしてなんとかベッドから抜け出し、スマホをまさぐって寝ぼけまなこでLINEを開く。父から、家族のグループLINEにYahoo!ニュースのリンクが送られてきていた。

「嵐 5人で新会社設立を発表」

半開きだった自分の目がみるみるまん丸に開かれていくのがわかる。思わず寝室に戻り、まだしっかり夢の中にいる夫をたたき起こしてしまった。
「嵐、5人で会社設立やって!」

私は嵐の大ファンとかオタクとか、そういうわけではない。でもファンでないかと言われると、そうでもない。
ファンクラブに入って何度もライブへ足を運び、自室に「嵐コーナー」を設けるほど「アラシック(=嵐のファンネーム※非公式)」なのは、私の妹と母だ。嵐は2020年以来活動を休止しているが、活動休止の第一報が入ったとき、当時もう25歳かそこらだった妹が泣きじゃくりながら自宅の2階から階段を降りてきたことを今でも鮮明に覚えている。
妹と母の影響で嵐のメジャーな楽曲は知っているし、彼らがテレビに出ていると一緒になってなんとなく見ていた。メンバー5人仲が良く、それぞれにドラマや映画でもひっぱりだこ。国民的アイドルとして長年活躍し続けていたことは私が言うまでもない。

個人的には、嵐を知らない人に出会ったことがない。そして特別なファンでなくてもなぜかみな、好印象を抱いている気がする。
私も例外ではない。
嵐が活動休止を発表したとき、寂しかった。時代が1つ終わった気がした。2020年末の紅白歌合戦を見ながら、涙が込み上げたきたのを覚えている。その時も不思議な気持ちになったが、今回もそうだ。

「嵐が新会社設立」の一報は、早朝5時5分にリリースされたらしい。また、発表の文末の名前の記載順は、アルファベット頭文字がファンのみぞ知る「AMNOS」となっていた。ファンを大切にする思いと「5人で嵐」というメッセージが込められているそうで、そういう嵐の気遣いも、素直にすてきだなと思う。

ここ数日、Webライターを目指して勉強を始めたはよいものの、これから始まる子育てとの兼ね合いやライタースクール受講料の負担を考えてなんとなく鬱々としていた。自分で決めた勉強スケジュールが3日坊主で、そんな自分にも嫌気がさしていたときだった。
「嵐 」「5人」「新会社設立」
これらの文字を目にしたとたん、自分の心が色を帯びていくのがわかった。
熱烈ファンでもないアイドルグループ(ファンのみなさん、すみません)の会社設立の知らせによって、自分の中のスイッチが入ったことにとても驚いた。
活動休止期間中にいろいろな憶測が飛び交い、結婚や子育てなど環境が変わる中で、彼ららしく活動していくために、一般人の私たちには想像もつかないような困難や苦悩もあったのだろう。その上で日本全国の嵐ファンの思いを尊重した形で朝にそっと発表された一大ニュースに、ただ勇気づけられた。私と似た思いを抱いた人は、少なくないのではないだろうか。

嵐はすごい。東京郊外の小さな賃貸マンションの片隅で、モヤモヤを抱えながらベッドでぐずぐすしていた私の心でさえ前向きにしてくれた。
時間は絶えず動いている。私も自分らしくいるために、彼らの挑戦に乗じて、少しずつでも行動を続けていこうかな、と考えた朝。

嵐の新会社設立の知らせで、文字通り目が覚めた。

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