【読後感】本当の多様性を知る本
今回も話題の書籍を読んでみての感想を備忘録的に。
タイトルだけではどんな本かわからなかったけど・・・なるほど英国の日常を通じたグローバルスタンダードの教養本。といったところ。
しかしこのグローバルスタンダードというのが実に奥が深い。
多様性、それから少子化というキーワードで感じたことを整理してみた。
■日本人にはわからない本当の多様性
この本を手に取ることで得られる最も重要なことはこれではないかと思った。”本当の”多様性に対する理解。
会社や学校でもダイバーシティ、すなわち多様性という言葉をよく聞くようになってきた。ただ、生まれも育ちも日本である僕らにとってこの言葉の理解はせいぜい男女平等、LGBTぐらいにとどまってしまう。
ムリもないと思う。僕らにとって際立っている多様とは男女の違いと、セクシャルマイノリティぐらいしかない。陸続きの世界に比べれば島国はまだまだ一様なのだ。
でも本当の多様性とはこんな表面的なものではない。これを教師や親などの大人が子供たちに正しく伝えることは非常に難しいと思う。
なぜなら(自分も含め)大人自身がしっかりと理解出来ていないから。
ではどうすればよいか。
それを解決してくれる一つがこの本ではないかと思う。読めばわかる。多様性とは実に奥深く、そして根深い。
日本にいてはわからない感覚をイングランドで過ごすダブル(ここではハーフとは言わない)の中学生と、日本人の母親が日本人目線で教えてくれる。
ネットにはびこる匿名の誹謗中傷はバカの仕業と無視を決め込めばよいのだが、これがレイシズム(人種差別)ともなればそうはいかない。
無視を決め込んだところで無視しきれないエネルギーがあるし、そのマグマは歴史的背景だったり、社会環境によって形成されたいびつなコミュニティだったりで、個人の努力で消えるものではない。
ではどう向き合えばよいのか。
・・・それを考えることこそが国際的な人間になるための第一歩なのかもしれない。多分。
■少子化が招く移民の可能性
島国ニッポンは難しい多様性の問題とは比較的無縁という点で少し恵まれていると思う。
僕の生まれ育った静岡県の西部地方にはブラジルからの労働者が多く、日本人とブラジル人のダブル(ハーフ)の子供たちが学校に何人かいたけどそれでも圧倒的に日本人が多いため、大した問題ではなかった。その証拠にトラブルもなく友好的な関係を築いていたと思う。
しかし、これからの日本は少し様子が違ってくるかもしれない。理由はズバリ、少子化。
内閣府の資料を引用すると、2018年で1.26億人いる人口が35年後には1億人を割りこむという。
コ口ナ禍で散々経験したけど、人が生活するうえで一番ヤバいのは経済が回らなくなることで、売れなければ儲からなくて、儲からなければ作れなくて、作れなければ仕事が無くなって、仕事が無くなれば買えなくなって、結局売れなくなる。という負のスパイラルが起こる。
少子化はシンプルに買い手の減少でもあるから実はかなりヤバい。
そんなヤバい状態の解決策として考えられているのが移民の受け入れだったりする。つまり外から招き入れて経済人口を増やそうというわけだ。
これは効果があるだろう。実際にコ口ナ禍前には(移民ではなく旅行者だけれど)インバウンド需要で日本はかなり潤った。
でも待てよ。
移民の受け入れって、多様性社会の受け入れとセットじゃないか!!
■他人事ではないかも・・・。
「いや別に日本から出るつもりないし、国際人になるつもりもないから、別に多様性とか知らなくても問題ないし。」
と決め込みたいところだけど、実は日本にいても将来的に国際人としての常識を必要とする可能性は十分にある。
そんな時、無知であることはちょっと恐ろしい。
ある程度理解して、前もって準備しておかないと知らず知らずのうちに自分自身がレイシストになってしまう可能性を秘めている。
冒頭にも述べたけど、このことを学校や親は教えてくれないと思う。無理もない。親も先生も”本当の”多様性なんて知らないから。
じゃぁどうすれば!?とりあえずこの本を読んでみるのがいいのではないかと思う。難しいことは抜きしにして何となくその深さがわかる。
中3~高校生ぐらいが読めばものすごい学びになると思う。おっとその前に大人が読む必要があるけれど。
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