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【迫真エッセイ】転職と苦悩の話④

学生時代のバカさ加減を伸びしろと捉え、来るもの拒まずの精神で経験を重ね、まずまずの社会人生活を送っていた僕だったがここでもうひとつ特筆すべき出来事があった。

この頃僕はめでたく結婚し、第一子を授かっていた。工場見学を優先し、デートを反故にしていた彼女に愛想をつかされそうになった所を土下座して引き留め、何とか結婚していただいて2年ほど経った頃だった。

我が家は共働きだった。家事と育児を2人でこなしながら愛娘を保育園に預けるため大慌てで家を出る。この出来事だけで涙なしでは語れない苦労話が10,000文字は書けそうだけど・・・軸がズレるのでその話は割愛する。

子供の送りは僕の役目だった。そして、娘が早く登園しなくてはいけない特殊な事情があって、僕は始業の1時間以上前に出社することを余儀なくされていた。

さて、この空き時間に何をするか。ここで大きな出会いがあった。
読書である

 

■確信

ぽっかりと空いた時間で僕は読書をすることにした。もともと活字は好きだったが次第に体を動かす方が好きになり本を買って読むこととは縁遠くなっていた。

机に一人座って本を読むなんて小学校3年生以来かもしれない。4年生から僕は野球にハマって、明らかに机に座ることが無くなったのだった。


売れていそうなビジネス書を読んだ。難しい概念よりまず、社長さんが書いている本を読んだ。これが良かった。

たまに。ほんのたまに。

社長さんが書いた一文が、これまで仕事をしながら「多分こういうことじゃないかな」と自分で思っていたこととぴったり一致することがあった。多分、今思えば大した内容ではないだろう。それほどクリティカルなメッセージでもないかもしれない。

でも、これが良かった。


これまで虚勢のみで突っ走ってきた柔らかい自分自身が、少しだけ、いやかなり堅くなっていく感覚があった。確信を得たのである

ここから僕は本の虫になった。色んな業界の色んな人が書いた本を読み漁った。今でも後輩に「お勧めの本は何ですか?」と聞かれれば言う。「読書とは答え合わせである」、と。

普段の自分が何気なく気になっている事、多分そうじゃないかと思っている事。それらのヒントになるような本が、おすすめの本なのだ。


かくして僕は、”虚勢”の後ろに名だたる社長たちの後ろ盾を得ることとなる。誰が何と言おうと、得たのであった(笑)。
もともと自己陶酔、すなわち向こう見ずなバカさ加減が原動力だ。「確信」はかなり自信になった。これで更に調子に乗ることになる。


今思えば、この頃から鼻が伸び始めていた。しかし、自分自身も周囲の同僚もそれには気付かない。勢いそのままに、いよいよリーダー鈴木が見えてきたのである。

 

 

 

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続く。

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