見出し画像

【ビジネス考察】「突き一本!」という素晴らしい考え方

シンプルイズベストという言葉があります。また、簡にして要を得るという言葉もあります。

いずれも10年ぐらい前に、日本のメーカーを見ていて思ったことです。


■少し整理すると、

日本のメーカーは長らく品質という面で最強でした。しかしそれは”モノ”のことを指していて、世の中が緩やかに”コト”の価値を重視するようになってくると話がかわってきます。

カスタマーエクスペリエンスだとか、ソリューションビジネスだとかがビジネス書のタイトルになり、本屋で目立つようになってきた頃です。

これに乗じて、海外のモノづくりの品質が上がったのか、それとも品質より体験を重視するようになって見方が変わったのか・・・両方だと思いますがいずれにせよ! 日本のモノづくりは、海外の安くてそこそこ品質が良い+速いに圧倒されます。

コモディティという言葉がはやり出したのがこのころで、つまり日本はじっくり良いものを作ってもあっさりと海外勢に追いつき、追い越され、なんの強みも出せない。という時期に突入します。


■で、日本がしたこと

違いを示したい日本メーカーは、ここでも”こと”すなわち買ってくれた人への体験ではなく、”もの”に拘ります。

その代表的な言葉が付加価値です。


照明器具は照明だけでなく、冷蔵庫は冷蔵だけでなく、テレビは放送だけでなく・・・プラス何かをくっつけて、値段高いけど良いでしょ?と言い出したのです。

これが圧倒的にダサかった。なぜか?
それはコンセプトが相変わらず利用客目線ではなく、技術の押し売りだったから。

例えばiPhoneがiTunes(音楽)やiPod Touch(アプリ利用)の世界観を提供する電話端末だったのに対し、
ケータイはカメラ性能に拘って、A1サイズの写真がきれいに撮れる電話端末を目指していた。

つまり日本のモノづくりは、安くて速く提供できない代わりに、求められてもいない”付加価値”を乗せて、高いままの傲慢商品だったのです。これは選ばれるわけがありません。


それらを目にしながら脳裏に浮かぶ言葉が、シンプルイズベストあるいは、簡にして要を得るという言葉でした。
みんな知っているのに誰も出来なかった。私も含めてです。


■突き一本

という言葉が空手の世界にあるということを知ったのはそんな時でした。当時の私はこれを、シンプルイズベストの進化版だと思って記憶しました。

空手の世界では、やいのやいの言わず「突き」を一発かますだけで、その人の実力、鍛錬の深度、人となりがわかるそうです。


本当に良いモノというのは、情報量を最低限にしても人々の心に訴えかけることが出来るということです。人々はその確かな訴えにしっかりと反応し、その世界に入り込み、結果として大満足を得ることになります。


多くの型を学び、多くの鍛錬を経て、最終的に突き一本にまでそぎ落とし、それで全てを伝える。

これが本来の日本人の精神。シンプルイズベストとはここまで深いことを示しているのではないかと思うのです。


最近ダラダラと文章を書きながら、そんなことを思い出しました。ということで今回もシンプルに話を終わりたいと思います。




本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?