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【ジュビロ磐田⚽】【雑感】金子翔太とは何か。

サッカーとは不思議なもんで、

ドンピシャのシュートがキーパーの正面に行ってしまう場合もあれば、それがボール1個分だけズレてナイスゴールになる場合もある。

ディフェンスもそうで、
投げ出した足にシュートが当たって難を逃れることもあれば、同じように足に当たったのにコースを変えてゴールに吸い込まれる場合もある。


5/19にエコパで行われた浦和レッズとの一戦で、
途中交代した金子翔太が放った値千金のゴールは、まさに西川周作の真正面をボール1個分だけズレてゴールネットを揺らした。

なぜあのボールはキーパーの正面をちょっとだけズレたのか。

この差は何なんだろうか。



■推進力

磐田ってさ、ある程度強くいけばボール取れるし、取れなかったとしても結局前に蹴るだけでしょ?そしたらセカンド拾えるし楽だよね。


相手チームの間でそんなやり取りがなされているかどうかは知る由もないけれど、何となくそんなんが共通理解になっている様に感じてしまう今日この頃。

ボールを大事にしつつ、蹴るときは蹴る
といったポリシーだったはずが、ジャーメイン良の進化過ぎる進化によってか、あるいは中盤での致命的なミスが続いた結果か、いつからか蹴る場面 増し増しになってしまった。

ジャメさんが全開の時はまだいい。でも彼がいなくなって収まり処が一つになった瞬間蹴ったボールは前で落ち着かなくなり、それに呼応して選手も前進しなくなった


もともと苦手なハイプレスに対してボランチがフォローに回り磐田の重心は後ろに重くなる。しかも湘南戦はルキアン福田の運動量が強烈で、たった二人の圧によってボールは前に進まない。
堪らず山田ら前の選手が出口を作ろうとボールを受けに来る。益々ペイペイは孤立して全然マイボールにならない。

勇気をもって前に出る。ってのは単騎で実践しても孤立するだけで逆に守備陣形の綻びになってしまう。
故にこれは中々根深い問題であり、奇しくも開始早々の失点は平川という単騎があっさりいなされたところから始まった。


が、
いくら何でもジャメさんを失ってからの磐田は消極的過ぎる。
前にスペースがあるのにボールを運ばず周囲を見渡してパス選択するのはその典型。マイナス方向のパスであっても”上がりを待つ”と言った推進の一貫であれば問題ないのだが、チーム全体からほとばしる消極性は相手に活力を与えてしまい結局ほとんどの場合ボールを失う。

J2であれば「悪りぃ悪りぃ」で済むシーンでも洒落にならないのがJ1。
見ている多くの人がフラストレーションを募らせる原因の一つはこんなところにあるのではなかろうか。


つまりのところ、
このシーンの爽快さはズバリそんな心境の裏返しにある。立役者は金子翔太であった。

前にスペースがあれば持ち上がる。

改めて映像を見てみてどうだろうか。彼のドリブルには一切の迷いがない。危機察知能力の高い相手ディフェンダーは本能的にこれにつられた。

結果として金子翔太は3人ものディフェンダーをひきつけ、そのうち一人を転倒させ、ドフリーのペイショットにおぜん立てした。


見たかったやつなのよ。マジで。この迷いの無さ。本能。真っ直ぐ。
特殊な技術はあったか? 否。 あったのは純度100%の推進力

直前で誰よりも早くボールに反応したジョゼ兄も含めて、これこそが求めていた推進力。言い換えれば、相手にとっての真の”恐怖”




■あと一歩頑張る

レッズ戦と、それから湘南戦を見ていて相変わらず素晴らしいと思ったのが金子翔太の、あと一歩頑張る姿。


何を言っているかわからないと思うので例によって図示してみた。

相手チームがボール保持しているとき、前線の選手がボールホルダーに対して寄せに行きます。

が、
よくよく見ると行っているだけで何の規制にもなっていないって場合がほとんどです。そりゃ行かないより行った方が良いわけだけど、相手からするとパスコースもドリブルコースも潤沢で全く怖くない。

特に試合終盤で防戦になる時って最終ラインからのボール供給がとても怖いわけで、これに対して規制がないのは不安で不安でしょうがない。


で、
金子翔太ですよ。

彼は、あと一歩頑張る
あと一歩とは、相手のパスコースを切るところまで。見てるとわかるんです。彼がこの効果と価値をかなり意識してムーブしていることが。寄せるんじゃなくて、規制しに行ってる。

私の定点観測だとこれやってくれるのが金子翔太と、昨年の後藤啓介。


見てる側からすると、試合終盤この2人がいると妙な安心感があったと思うのですが、それはここの差ではないかと個人的に推察します。


言うのは簡単ですけどね。むちゃくちゃ疲れると思うんです。この”あと一歩”ってやつは。

だからこそ、きっちりやってくれる選手には最大級の賛辞を送りたい!!そんな風に思います。


あと一歩頑張る姿。それは、意味ある規制。ピンチの目を根源から摘む献身性。
こんなプレーに万雷の拍手が起こるようなヤマハスタジアムになったら最高ですね。




■金子翔太とは何か

自分の前が開いたら持ち上がる。相手の前が開いたら規制する。

もちろんそれ以外にも戦術的なプレーをたくさんしていると思うんですけど、僕がなぜ彼に対してグッとくるのかを整理してみたらこんなにシンプルな事象でありました。
難しいプレー。目立つプレーではないけれど、やって欲しいことをキッチリと遂行している感じ。


何というか、スカッとするんですよ。「これこれ!これだよ見たかったやつは!!」みたいな。

だから多くのサポが彼のことを好きなんだと思います。



ジャメさんが戦線離脱して勿体無い試合をしてしまった磐田。蹴る蹴る病にむしばまれつつあるチームにおいてそれを解決するのはかなり難しく、一筋縄に行かないぞと半ば絶望感すらあったんですけど・・・

その糸口をここ2試合で示し、勝ち点を拾ってくれたのが金子選手でした。キーワードは当たり前のことを当たり前にやる。これです。

正直なところまだまだ難しい戦いは続くと思うんですけどね。失意の連敗からしっかりと持ち直せたのは本当に嬉しい。




改めて。

ドンピシャのシュートがキーパーの正面に行ってしまう場合もあれば、それがボール1個分だけズレてナイスゴールになる場合もある。

投げ出した足にシュートが当たって難を逃れることもあれば、同じように足に当たってコースを変えてゴールに吸い込まれる場合もある。

なぜこんな差が生まれるのか。


彼の言葉を借りればそれは、
神様が見ているからなのかもしれません。




本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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