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ショートショート 169【右前の不埒な誘惑】

家から近いから、という理由で選んだ高校だ。もともとモチベーションなんてない。入学してからずっと、とにかくテンションは低かった。

しかし高校生になって3か月。6月初めの席替えをきっかけにオレの高校生活は突如として華やかになる。

自分の右前の席。今はその席に視線は釘付けだ。そして、自分の中に”可愛い”という感情があることに驚いていてドキドキが止まらない。


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つぶらな瞳に愛嬌のある笑顔。
もちろん顔をうずめるようにしたことは無いが、万が一にでもそうすることが出来たならばきっと信じられないほど良い匂いがするのだろう。
そう考えるだけでオレは幸せな気持ちになれた。

柔らかそうなあそこは想像するだけで永遠に触り続けていられる自信がある。無邪気にペロリと舌を出す姿を想像するだけでその可愛らしさにノックアウト寸前だ。

とにかくオレは授業中ずっと右前の席を眺め、妄想していた。


隣の席の男が怪訝な顔をしてオレを見ている。

おっといけない。あまりにも凝視しすぎてはカンニング、もしくは変態扱いされてしまう。高校生活は長い。それだけは避けなくてはならない。

そう言って自分を戒めたはずだったが、やはり目ではその子を追っていた。


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「しかし、なんで男子校になんか来ちゃったんだろうね」

休み時間、親友の持山が愚痴る。

オレもそう思う。
自分自身の選択だったとはいえ入学当初は漏れなくオレもそう思っていた。


「お、授業が始まる」

ダルい素振りでそれぞれの席に戻る。そして、
着席してすかさず右前に座る曽根の席に視線を送る。

コイツのノートに挟まれている愛犬(トイプードル)の写真が目に入る。この子がとにかく可愛いのだ。

キュンキュンが止まらねぇじゃねぇか!!!




**完**


本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!


ワンちゃんには癒されますねー。




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