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【ブックレビュー】そばに置いておきたい。田辺聖子さんの大らかで優しさに溢れた言葉たち~『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』(田辺聖子)

こんにちは。
東北で暮らす本好きのライター、すずき・ちえです。

今日ご紹介するのは、田辺聖子さんの『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』

本を読んだきっかけ


田辺さんと言えば、ご存じの方も多いとは思いますが、現在、再放送中の朝ドラ『芋たこなんきん』の主人公町子のモデルですね。
毎朝ご覧になられている方も多いのではないでしょうか。

私も視聴者の一人です。町子と夫である「カモカのおっちゃん」の温かみのある場面が特に好きで、楽しみに見ています。

そしてドラマを見るたびに、田辺さんの本を読みたくなりました。そこで手に取ったのが、『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』です。


人生の大先輩からの珠玉の言葉たち

田辺聖子さんと言えば、芥川賞をはじめとする数々の賞を受賞し、多くの作品を残した、誰もが知る作家。
惜しくも2019年に亡くなりましたが、小説やエッセイは今も多くの人たちに読み継がれています。

『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』は、ファッション雑誌の連載コラムを一冊にまとめたものです。

恋愛、結婚、仕事、夢など、田辺さんなりの切り口で人生の後輩たちへのメッセージが書かれています。

私は、心に残った言葉をメモしながら本を読みすすめるのですが、今回はペンを手放せなかったほど多くの素敵な言葉に出会えました。

特に印象深かったのが「気持ちを伝える」のコラムの中の言葉。

その人の心の内がパッと言葉や表情にあらわれたときが、人は一番きれい

『歳月がくれるもの まいにち、ごきげんさん』田辺聖子

田辺さんは、恋愛の観点から、ケンカもせずに当たり障りのないことばかり言っているから人といても面白くない、また下心があると制約されて出会いも愉しめず、本当の気持ちも出てこない、と書きます。

そして、

その人の本当の気持ちが出たときが、一番きれいな言葉が出てくるんだと思うの。その人の魅力が輝いて見える。

このようにまとめます。

ほんとにほんとに思っていることは絶対に伝わると思いますよ。

これを読んだときに、恋愛以外でも当てはまることだと感じました。

例えば、人と話すときや、発言を聞くとき。
心からの言葉は、パワーがみなぎっているのを感じ心が動かされた経験があります。

逆に良いことを言っているのに、心に響かない、言葉の力を感じないと思ったことも。

変に格好つけずに、心からの想いを伝えていきたいと感じました。

他にも素敵な言葉がたくさん!

ここで、私の心に響いた言葉をもうひとつ。

人生ってね、自分で何もかも選べるものと違う。
勝手に向こうからやってくるものなんですよ。
だから柔らかな心で大きく迎え入れた方がいい。
めぐりあいを愉しんだらいいんです。
そうするとそこから拓けていくものが必ずあるから。

「人生、思うようにならんわー」と思うことも多々あります。
思わず嘆きたくなりますが、そんな時はこの言葉を思い出したいところ。

見方を少し変えるだけで、大らかな気持ちで巡り会いを愉しめる生き方をしたいと、強く思いました。

この本を読んだみなさんの心には、どの言葉が響くのでしょうか。
きっと、それぞれにピッタリとハマる言葉が見つかるはず!
よかったらぜひ、教えてくださいね。

さらにこの本には聖子さんご夫婦のエピソードも書かれています。
「おもろきかな、夫婦」という題のコラムです。『芋たこなんきん』を観ているからか、場面が思い浮かびました。
そちらもぜひ、お読み下さいませ。

◆今日の本◆



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