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【#忘れられない先生】私がフランス語を習っていた理由

※本人の特定を防ぐため、少し設定を変えています

社会人になって2~3年たった頃、少しだけフランス語教室に通っていたことがある。

海外経験(?)は、家族旅行のハワイ1回だけ。
仕事は、地元企業で社員もお客もほとんど、東北の人。
学生時代、英語は、かなり苦手だった。

そんな、どこからみても海外とは縁がないであろう私だったが、なぜかフランスに憧れがあった。多分、ファッション雑誌のストリートスナップや、フランス本の影響が強かったのではないかと思う。
「フランス文化に触れたい!」と単純でミーハーな私は、ネットで地元のフランス語の先生のブログを見つけて、通いだした。

先生は、当時40代半ばくらいの日本人女性で、子育て中のお母さんだった。
フランスでは、育児しながらフランス語を身につけたという、努力家。
初心者の私にもわかりやすく教えてくれた。
語学が苦手だった私ですら、初めて「語学って楽しい」と思ったくらいだった。

また、先生は細やかな気配りもできる人だった。
レッスンは4人のグループレッスンだったが、入ったばかりの頃や、振替で別のクラスに行ったとき、他のメンバーに溶け込めるようにと気を配ってくれた。休憩時間に話すときに、話を振ってくれるなど、輪の中に入りやすくしてくれたのだ。

そして、身に付けるものや、レッスン室のセンスも素敵で、毎回会うのが楽しみだった。

半年ほど教室には通っていた。
ゆっくりとではあるが、フランス語の単語を少しずつ覚えつつあったし、先生やグループレッスンのメンバーと話すのも楽しく、刺激があった。レッスン仲間には海外経験が豊富な人たちが多く、フライトアテンダントの人や、フランスへの留学を目指している人もいた。
東北訛りが飛び交う、狭い世界にいた私にとっては、教室が世界との接点だった気がする。

しかし、何となく違和感があった。
先生の授業はわかりやすいし、丁寧に教えてくれる。
他のメンバーとも仲良くなってきた。
何でだろう…と思った。

やがて「本当はフランス語がやりたかったんじゃなくて、先生への憧れが大きかったんだな」ということに気が付いた。
ちょうど、仕事が忙しくなったタイミングで、レッスンを休みがちになっていたので退会した。

短い間だったが、語学を通して今まで知らなかった世界を知ることができて、良い経験だった。先生には感謝している。

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先日、風のうわさで、先生が教室をやめたことを知った。先生は数年前に仙台を離れ、東京で教室を開いたそうだ。しかし、去年からの新型ウイルスの影響は避けられなかったようだと聞き、心が痛んだ。

先生の授業を受けたい人はきっと多いはず。再起を願うばかりだ。




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