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5日間の東北鈍行ひとり旅②

お金はないけど時間だけはあった、修論提出後の大学院2年生の孤独な旅です。1日目、2日目の様子はこちらから。

3日目:乳頭温泉郷(秋田県)

さてここからは秘境温泉巡りの旅。
鈍行+路線バスでの移動なのでとにかくタイムマネジメントが大事、ということで、ガッチガチに旅程を組んだものを紙にプリントアウトしてきた。

真っ暗な中、開運橋をわたり、早朝5:20の電車に乗って田沢湖を目指す。この田沢湖線がとても面白くて、岩手→秋田を横断するために山を切り拓いたような道をガシガシと進んでいく。この辺になると乗り鉄、撮り鉄っぽいお兄さんをちらほらとみるようになって、私も車窓に注目するようになった。途中から雪が見えるようになり、田沢湖に到着する頃には外は吹雪。ホームの中にまで雪が入っていた。

乳頭温泉に向かう路線バスまでは1時間以上あるので、待合室のベンチでとりあえずソイジョイを齧り、野菜ジュースを飲む。流石に暇なので外に出て散策していると、マジで寒い。日本海側の地域の洗礼を受けた。

やっとこさ路線バスに乗り込んで安心していると、右手に田沢湖が見えた。じっくりみることはできなかったけれど、水が綺麗ででっかいことはわかった。田沢湖周遊バスたるものもあるみたいで、次回は乗ってみたい。

田沢湖を抜けると、バスは完全に山登りルート。
雪が深くなってくるとバスもガタガタ揺れだして、「私の命は運転手さまの手に・・・」という気持ちになってくる。スキー場が見えてきて、お、そろそろかな?とか思ったら大間違いで、まだまだ登っていく。

バスに揺られること約1時間、8:40に最初の目的地の大釜温泉に到着。積雪量は余裕で私の身長を超えている。気温はマイナス2℃。早く風呂に入りたいのは山々だが、日帰り温泉客が入力できるのは9時からなのであと20分耐える必要がある。

あとでわかったのだけれど、実は入浴さえしなければ室内で待つこともできたらしい。ただ、そんなことも知らない私は吹雪いている秋田の山奥で寒さを凌ぐ方法を考えていた。駐車場(といってもただの雪の壁のようなもんなんですけど)で丸まってなんとか吹雪をしのぐ。でも寒い。スマホで気温を見てみると、マイナス二度。そりゃ寒いわけだ。

20分間をなんとか耐え抜き、この旅初めての温泉に!大釜温泉は男女別の風呂なのでとてもリラックスして入ることができた。露天もあったけれど、外があまりにも寒いのでちょっとだけ入って内湯に移動。もうちょっと温度調節してくれたら良かったな・・・

ここは木造校舎をリニューアルした作りの建物だけあって、とても風情がある。内湯はぬるめで水質も優しくて、ずーっと入っていられる。朝が早かったこともあって、うとうとしながら温泉を味わった。

次の湯は、ここから歩いていける妙乃湯。
こちらもまだ日帰り温泉の開放時間ではなかったので、前回の反省を生かして入り口の中で待機させてもらうことにした。中には囲炉裏があって、ほっこりしながら待つことができた。私以外にも4組くらい待っている日帰り入浴勢がいた。賑やかな大学生集団がいたのでちょっとげっとなる。ここの露天風呂、混浴なんだよなあ。

入場料をPayPayで支払えることに驚きながら、いそいで脱衣所に向かって服を脱ぐ。この温泉はちゃんと体を洗えるところが整備されていてありがたい。とりあえず内湯で様子を伺ってみたけれど、やっぱり雪が見える露天風呂に行きたい!と思ったので、思い切って立ち上がる。

白濁しているとはいえ、混浴風呂に入るのはやはり緊張する。そっと聞き耳を立てて、さっきの大学生男子の声が聞こえないことを確認し、そっと外を覗くとちょうど誰もいない。ラッキー!肩まで湯に使ったままゆっくり移動して、川の見えるポジションを確保する。なんだか一度外の方を見てしまうと移動するのも視線を他に移すのも恥ずかしいので、ずーっと雪と川と山を見ていた。(↓これが温泉からの景色を外から見たもの)

外気温は氷点下なので顔はヒリヒリと冷たいんだけど、肩まで使ったお湯はほかほかで、旅の疲れを溶かしてくれる・・・2ヶ月前までゲロ吐きそうになりながら東京で修士論文に追われていたので、ゆったりした時間が流れる秋田の山奥で混浴露天風呂を満喫しているのがなんだかすごく不思議に思った。

結局露天風呂では他の人に遭遇することのないまま女子の内湯に戻ると、2人で来ていたおばさまがソワソワと外をのぞいていた。「今ちょうど男性いませんでしたよ」とお伝えすると「よし!いくぞ!」とキャピキャピしながら露天に向かっていった。

妙乃湯をあとにして、次の湯に行こうと思い調べてみるも、今日のうちに大曲につく鈍行に乗り込むにはそろそろ田沢湖駅に戻るバスに乗っておかないと厳しそう。新幹線平行運行区間はほんとーーに鈍行の本数が少ないのです。

爆睡しながら田沢湖駅に戻り、食事処を探す。駅前になんでも置いてある定食どころがあったので、そちらできりたんぽ鍋セットをいただく。ポカポカの体で、お座敷でゆっくりいただく一人鍋、最高・・・ちなみにこちらのお支払いにはずっと残っていたメルペイ残高を使わせていただいた。この旅で気づいたんだけど、クレカはNGだけどバーコード決済OKな店舗がすごく多い!導入キャンペーンやってたもんなあ。

電車までにはまだ時間があったので、近くにあった喫茶店でロイヤルミルクティーをいただく。この喫茶店の雰囲気がすごく良くて、地元の常連さんが頻繁に出入りしておしゃべりしながらも店員さんがよく気づいてくれるし、カウンターの店員さんは暇な時間にカウンターでナポリタン食べているし、自由で愛されているお店なんだなあと感じた。私は、田沢湖駅で見つけてきたJRのパンフレットで次に旅行したい場所を探していた。


田沢湖→大曲
田沢湖線、この度のベスト路線でした。これ、朝にのった路線と同じなんですけど、朝の峠越えとはまた違う展望で最高だった。普通列車ならではの大きな窓からは一面の田園風景。雪で彩られているのもすごく素敵。大曲に近づくにつれてどんどん雪が深くなってきて、空も曇ってきて、雪国を感じる。東北旅行前半は太平洋側にいたので、3月上旬にはあまり深い雪は見なかったけれど、やっぱり日本海側は深いな。

大曲に到着すると「ようこそ花火のまち大仙市へ」という文字と花火玉のオブジェが。そうだ、ここは長岡と並ぶ日本三大花火大会の街だったなあと思いだす。

夜は焼き鳥屋さんでちょこっとだけ比内地鶏をいただく。カウンターでハイボール飲みながらいただく焼き鳥は最高だな・・・帰りに駅に寄ってみると、駅の電飾が綺麗だった。


4日目:銀山温泉(山形県)

大曲→大石田
さて、秋田県から南下してこの日は山形県に上陸。銀山温泉に行って、最後に山形駅までいくルートを練っている時、ここだけどうしても新幹線に乗らないとバスを捕まえられなさそうだったので新庄→大石田の間だけワープを使う。新幹線かっこいいし速すぎ・・・と感動。

バスはまたもや雪の深い山道をがたんがたんと怖い音を立てながら登っていく。バス内に手書きの英語の案内がたくさんあって驚いた。この冬も、コロナがなければ外国の方もたくさんいらっしゃる予定だったのかしらね。

銀山温泉街は思ったよりもぎゅっと詰まった観光地だった。久しぶりに若い人たちがたくさんいる地に降り立ったのでちょっと感動した。

ちょっと散策して、日帰り温泉をやっている旅館一つと公衆浴場「しろがね湯」に入浴。どちらもシンプルで素敵なお湯でした。ただ、しろがね湯は鍵のかかるロッカーがなかったので、盗難に遭わないかどうか気が気じゃなかった。観光客が多いところなので整備をお願いしたい・・・

お昼ごはんは、1952年創業の食堂をカフェとして温泉街に移転させた古民家風のお蕎麦屋さんでいただく。素揚げのなすが入ったおそば大好き・・・

思ったよりもガシガシ歩いて散策するという感じではなかったので、予定より一本早いバスに乗って山形方面へ向かい、天童で途中下車することに。三月のライオンを読んで「将棋のまち」ということは知っていたので、なんとなく降りてみることにした。島田さん・・・

人間将棋が毎年開催される公園に向かってみるも、なかなか辿り着けないので途中で諦めた。道を引き返していると、なんだか美味しそうなフルーツ専門店を発見。寒かったけれど、いちごシェイクをいただく。これがもう、本当にフレッシュで美味しくて・・・もう一杯飲もうと思ったけれど、鈍行の旅でお腹を壊してしまうと旅程が終わるので泣く泣く諦める。

天童駅に帰り、次の電車の時間までもう少し散策しようと思うも、流石に4日目ともなると重いリュックで肩がしんどい。歩き疲れて駅の喫茶店に入る。


天童→山形
この路線は地元の人でまあまあ席が埋まっていた。東北の電車では仙台→小牛田の次に埋まっていたかもしれない。他の電車ががらがらすぎるのよね。

山形駅はすっかり繁華街で、ご飯屋さんに迷ってしまう。山形牛を食べようかとも思ったんだけど、2日目に食べた前沢牛の味を上書きしたくなくて、なんとなく豚にした。このトンカツ屋さんは東京にもあるけれど、豚さんを飼っている山形県でたべられたのでOKということにする。

旅の最後の宿泊地はちょっとゴージャスなホテルにしてみた。ちゃんと広いロビーがあって、ホテルの中にも綺麗なレストランがあるようなところ。部屋の中もやっぱり今までの格安ビジネスホテルとは絨毯から違いますね!って感じで笑った。お疲れ、自分。

つづく

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