![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110316303/rectangle_large_type_2_8bf3f8b6a82708325393a0d0a84ef797.png?width=800)
統合失調症の外国人の彼と私の恋愛:出会い
2010年8月20日。
忘れていない理由は、この日がハンガリーの建国記念日だったから。
この時、偶然にも飛行機から花火が見えて、飛行機が着陸すると、東欧独特の風習で機内の乗客が拍手をしていて、1人どぎまぎしていたのを、今でも覚えています。
私は夜の便でブダペストの空港に到着。
コンタクトパーソンの先生が手配してくれたあるご夫婦の車で、留学先の街へと夜な夜な移動することになりました。
大学に着いたのは、夜の0時を過ぎた頃だった気がします。
私が住むことになったのは、大学の学生寮。
夜勤の管理人からカードを受け取って、部屋を開けると、そこにはベットが6台。つまり6人部屋ということみたい。
大学生活が始まるのは9月からということのみ知らされていて、私は基本部屋の中で1人で過ごしていました。
まだ部屋にはインターネットがなく、部屋の外からの音と時間を過ごしていました。
ずっと1人かと思いきや、日ごとに校関係者の先生やら学生委員会の人たちが訪れてくれて、買い物に出かけたり、食事に呼んでもらいながら、過ごしていました。
数日経過した金曜日の午後。
ひとりの学生委員会の学生から、
『来週から新入生歓迎キャンプがあるから、出席してね』
と声がかかりました。
『何それ?』
そこで初めて、何かイベントがあることを知りました。
具体的な内容は知らされないまま指定された時間と場所のみ伝えられて、
週明けの月曜日の朝1番に体育館に向かいました。
中に入ると皆が私を目で追います。
私も、私以外がすべてハンガリー人だということを、そこで知りました。
さらに、このころ私はまだまだハンガリー語が分からなくてさっぱりで、たいした会話もできず、おそらくであろう、キャンプの内容が委員会から説明を聞いていました。
ひと段落して、みんなでザワザワしていた時、ある男の子が堂々と遅れながら、体育館に入ってきました。
それからスタスタと迷いなく、一番遠い入り口から明らかに私に向かってくるのが見えます。
私の目の前でピタリと止まり、
手を差し伸べて彼が口を開きました。
『やあ、初めまして。僕の名前はシーラだよ』
と英語で言われて、私たちは握手を交わしました。
真っ白のTシャツに、ベージュの短パンからは。
日焼けした小麦色の肌が見えていました。
髪は太陽で脱色して金髪になって、
挨拶された時の笑顔も太陽のようで、
眩しいほどの、良い顔をしていました。
そう、この人がこれから私が綴っていく主人公の1人です。
この時の彼は、ただただ明るい表情をしていて、
ましてや病を患っているなんて感じさせない様子でした。
どこからも陰を感じさせない、
ハンガリーの夏の空のような彼と眼を合わせて、
握手をした瞬間、
私の心の中で、明らかに何かが動き出したのを感じました。
そして、私たちの時間が刻まりはじめたのでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?